「おとなりさん」 木村研

 コロナウイルスでお休みになっていた幼稚園がはじまりました。
 まなちゃんが大きなマスクをして教室にはいると、マスクをしたすみれちゃんが、人形と遊んでいました。
「いーれて」というと、
「だめよ」
 すみれちゃんは、人形をだいてどこかに行っていまいました。
「いいもん」
 まなちゃんは、今度はブロックで遊んでいるじんくんとたけとくんのところにいって、
「いーれて」
と、いいました。
 じんくんとたけとくんもマスクをした顔でふりむいて、
「だめだめ」
と、二人で電車を作っています。
 しかたがありません。
 電車づくりをみていると、教室のすみっこに、段ボールの箱がありました。
 箱をあけてみると、中はからっぽです。
 まなちゃんは、からっぽの箱に、ぎゅうぎゅうとはいってみました。いい感じです。
からだを小さくして、箱のふたを閉めると、まなちゃんのうちになりました。
 すると、だれかが箱を、トントントンとたたきます。
「だあれ」と、外をみると、人形をおんぶしたすみれちゃんが、
「おもしろそうね。いーれて」
と、いいました。
 箱は、ぎゅうぎゅうです。
まなちゃんは、
「まんいんでーす」
と、いいました。
 すると、すみれちゃんは、廊下から箱を持ってきて、
「おとなりにひっこししてきていい?」
と、ききました。
「おとなりさんなら、いいわよ」
 おとなりに、すみれちゃんのうちがたちました。
「わー。おもしろそうだね」
 じんくんとたけとくんがやってきて、
「電車で、お買いものにいきませんか」
と、いいました。
 後からあとから、いろんな家や乗り物ができて、教室は大きな町になりました。

(作者のことば)
自粛がおわっても、まだ「三密」を避けなければいけませんね。ダンボールでそれぞれが一軒家の家を作って、町を作ってみるのもいいですね。

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