「しっぽ」 木村研

 もりとくんは、園庭でトカゲをつかまえました。
「先生。ほら」
 もりとくんが、トカゲのしっぽをつまんでけいこ先生にみせると、
「ぎゃー」
と、ひめいをあげて逃げていきました。
 そのとき、トカゲのしっぽが切れて、トカゲも花壇の中に逃げていってしまいました。
「ぼくもつれてってよー」
と、もりとくんの手に残ったトカゲのしっぽが、ぴくぴく動いていました。
「ごめんね」
 もりとくんは、しっぽをつまんで、トカゲをさがしました。
 花壇の中をさがしていると、トカゲが花の下に逃げていきます。
「まってー」
 あわてて追いかけると、もりとくんは、足をすべらせて転んでしまいました。
「いててて」
 涙をこらえてひざこぞうをさすっていると、しっぽがありません。
「あれ? どこにいっちゃったんだろう」
 もりとくんの目に、じわーっと涙があふれてきました。
その時です。
目の前を、長いしっぽのトカゲが横切りました。
「あっ。しっぽがもどってる。よかったね」
 もりとくんは、うれしそうに笑うと、けいこ先生のところに走って行きました。

(作者のことば)
お休みだった幼稚園や保育園には、いろんな友だちがすみついているかもしれませんね。仲良くしてくださいね。

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