「おまもり」 はらまさかず

 ゆうくんは、最近、おねしょをします。
 「気にするなって」と、お父さん。
 「もう、ねたくない」
 ゆうくんがいいます。
 「だったら、おまもり作ってやる」
 お父さんはそういって、紙とペンを持ってきました。
 そして、さらさらさらっとなにやら書きます。
 「ほら」
 紙には、
 『今日の夜、おねがいします』
と、書いてありました。
 
 その日、ゆうくんは、くまのぬいぐるみに、お父さんが書いてくれた紙をわたしました。そうして、ねむりについたのです。すると、真夜中のこと。
 「ゆうくん、ゆうくん」
 ゆうくんが、目を覚ますと、
 「あ、くまちゃん」
 「いっしょに、トイレいこ」
 「うん」
 ゆうくんは、くまちゃんと手をつないでトイレにいきました。

 朝、ゆうくんは、おねしょをしていませんでした。きのう、くまのぬいぐるみの上においたはずの紙は、なぜか見あたりませんでした。
 「ねえ、お父さん、また、おまもり書いて」
 ゆうくんはいいました。

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