「ながれぼしや」 はらまさかず

〈流れ星が消える前に、願いごとを3回言えたら、その願いがかなうといいます。それは、空の向こうに流れ星屋がいるからです。〉

 流れ星屋が住む町には、きれいな星がごろごろ転がっています。星屋たちはそれを拾い集め、ペンで『3』と書くと、地球に向かって投げます。
 「店長、やっぱ、『3』は無理じゃないですかね」
 星屋の見習いがいいました。
 「そういうのは、オレらの考えることじゃないの」
と、店長。
 ジリリリリ ジリリリリ
 電話がなります。
 「ほら、3回言える人だっているんだから」
 店長が電話をとると、
 「ラーメン、ラーメン、ラーメン!」
と、聞こえてきました。
 「はい、ダメー」
 「ちゃんと3回言えてるじゃないですか」
 見習いがいいます。
 「ラーメン食べたいのか、ラーメン屋やりたいのか、これじゃわからないよ」
 「ね、店長、今だけ1回で、願いかなえましょうよ。地球、大変みたいだし」
 「オレらは仕事だけしてればい・い・の」
 「今ならいい願い事がたくさんありますよ~」
 見習いが言うと、店長が思わずわらいました。でもすぐに、顔をひきしめます。
 「ね、今だけ」
 「・・・・仕方ないなあ」
 二人は、顔を見合わせました。
 
 今、流れ星屋たちは、ペンで星に『1』と書くと、地球にむかって投げています。

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