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「最高のぜいたく」 はらまさかず

ピエロが座っていそうな月の浮かぶ夜、
喫茶ギンガでは、また、宇宙の話です。

「宇宙ステーションに滞在したら、一日をみっちり、無駄なく過ごすだろうなあ」
ぼくはいった。
「なんで?」
と、マスター。
「だって、宇宙にいるんだよ。ぼんやり過ごしたらもったいないよ」
「うん」
「そんなふうにさ、宇宙にいるんだって思いながら毎日をすごしたら、むだのない立派な人生をおくれるだろうな」
ぼくがいうと、マスターはつまらなそうな顔をした。
「そんなの、なんか息苦しいよ」
と、マスター。
「やっぱり?」
「うん。宇宙にいるって思いながら、毎日ゆったり、いそがず生きていくのが、最高のぜいたくなんじゃないの」
「まあ、
 そうだね」
ギンガには、いつも、ぜいたくな時間が流れています。
(喫茶ギンガ 第15話)

最高のぜいたく


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