「大大大」 はらまさかず

 もっちゃんは、なんとなく、学校にいきたくありません。このまま、家で勉強すればいいのに。なんで、学校にあつまって、みんなで勉強しなくちゃいけないの、と思います。
 すると、窓ガラスを誰かがトントンとノックしました。
 カラスです。口に何かくわえています。
 もっちゃんは、それが、猫の大福からの手紙だとすぐにわかりました。『大』と、大きく書いてあったからです。
 もっちゃんは、手紙を受け取ってひらきました。
 手紙には、『大大大』と書いてありました。
 お母さんが、横から顔を出して、
 「どういう意味?」
といいました。
 「これはねえ」
 もっちゃんが、最初の『大』の字を指して、
 「大丈夫? 元気?って意味」
といいました。そして、次の『大』の字を指して、
 「大急ぎで来て。早く会いたいって意味」
といいました。
 「もっちゃん、すごいね。じゃあ、最後のは?」
 お母さんが最後の『大』を指差しました。その字だけ少し小さく、恥ずかしそうに見えます。
 「これは、、、」
 もっちゃんにはよくわかりませんでした。
 もっちゃんは急に、大福に会いたくなりました。

 (作者のことば)
 最後の『大』はね、大好きってことですよ。
 メールだけだと、伝えたいことがちゃんと伝わらないことがあります。たまに会っておかないとね。102話の「大福」と合わせて読むと面白いよ。

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