999ひきのきょうだい番外編3 「雨ふりぼうず」 木村研


 あるところに、泣き虫のてるてるぼうずがいました。
 だれが作ったのかは知らないけど、泣きそうな顔をしています。
 雨ふりぼうずが、幼稚園に遊びにいくと、
 「今日は遠足だったのに、雨になっちゃったじゃないか。おまえなんか、きらいだよ」
と、ほうりだされてしまいました。
 泣き虫ぼうずは、雨のなかを泣きながらあるいていきました。
 泣き泣きあるくと、雨はどんどん強くなります。
 泣き虫ぼうずは、どこにいってもきらわれます。
 しかたがありません。
 田んぼのほとりで休んでいると、
 「ケロケロケロ、泣き虫ぼうずだって」
 「ケロケロケロ、雨をいっぱいふらせるんだって」
と、カエルがあつまってきました。
 999ひきのカエルのきょうだいです。
 999ひきのきょうだいは、
 「よかったら、ばくたちのうちにこない?」
と、いいました。
 「えっ。いいの?」
 「ああ。ぼくたち、雨がだいすきなんだ」

 その日から、雨がふると999ひきのきょうだいは、雨ふりぼうずといっしょに歌っています。
 あめあめ ふれふれ
 ケロ ケロロ
 雨ふりぼうずも、うれしそうにうたっていますよ。

(作者のことば)
チャイルド本社で『だいちゃんとてるてるじいさん』という絵本を書きました。その本を、モンゴルの学生さんにプレゼントしたことがありましたが、てるてるぼうずが、よくわからなかったので、モンゴルでは、逆さにつるした方がいいねといったら、わかったようです。その時のことを思い出して書きました。読んでみてくださいね。

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