Zガンダムとおばあちゃん~白川ユウコの昭和ノスタル少女伝②


「機動戦士Zガンダム  星を継ぐもの」を観ました。DVDをレンタルして、昼間のんびりと。

 Zガンダム映画版三部作の一本目。テレビシリーズの映像を編集しなおして、新作映像で繋いでいるという造りでした。

 古い絵のアニメ画像を観ているとおもいだすのは、これをリアルタイムで観ていた子どものころのことです。小学校五年生ぐらいでしょうか。

 リアルタイムといっても再放送で、土曜日の五時半には「機動戦士ガンダムZZ」が放送されていて、月曜日から金曜日の夕方にZガンダムの放映だったのでした。
 なにかの拍子にZZにハマリ、Zを観たらドハマリ。

 生まれて初めて買ったレコードは主題歌「水の星に愛をこめて」森口博子。ドーナツ盤、700円でした。父がベートーベンやモーツァルトをかけているアナログレコードプレイヤーに載せて、おそるおそる針をおろしました。もう泣かないで今あなたを探している人が居るからおまえに逢いたいよと。
 あまり手軽に聴くことができないので、クラスメイトの笠原さんに頼んで、カセットテープにダビングしてもらいました。鮎川麻弥「Z、刻をこえて」、「サイレント・ヴォイス」もお願いして、テープが変になるまで聴いてた。
ラジカセを使ったのもそれが初めてでした。さらに、ビデオデッキなどもちろん無く、姉と私が思いついたのは、ビデオの代わりにラジカセで放送の音声のみを録音することでした。
 テレビとラジカセを専用のケーブルで繋ぐと、観ている間は音が聞こえないので、二人で三十分間ひたすら静かに黙ってカセットテープに録音しました。それも何度も何度も聴いた。

 アニメ雑誌なるものがあると知り、当然欲しくなったのだけれど、高いしZガンダムは過去の作品だし…。そこでなぜか駿府公園の近くの古本屋という選択肢が現れました。
 子どもの足では自転車で行けない。バス。一人で乗ったことない。そんなこと言ってられない。「お母さん、バスってどうやって乗るの?」初めての一人バス!
 回数券を買ってもらって、古本屋に通いました。当時子ども料金は70円。おばあちゃんにもらったおこずかいの300円とか400円とかを握り締めて、「アニメージュ」や「アニメディア」のバックナンバー150円とか200円を買いまくり。「OUT」や「ファンロード」はレアものの印象。静岡で購読している人は少なかったのでしょう。
特に当時のアニメージュは、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の漫画版の連載があったり、休載中は洞口依子「D」という漫画が載ったり、そのころ覚えたアニメーターさんや声優さんの名前は現在そうそうたる大御所となっているので、読んでおいてよかったと思います。

 そんな毎日を送っているときに、父が「今度の春休み、沖縄へ行くぞ」と言い出しました。「行かない。」私、即答。このままストーリーが進めば、旅行の日程と、カミーユとフォウ・ムラサメの出会いがぶつかってしまう。「いい。行かない。おばあちゃんと一緒にお留守番する。」
 両親は姉を連れてわりとあっさり旅行に出かけ、私は相変わらずZガンダムを観る春休み。石垣島と西表島は昔行ったし、竹富島はちょっと興味あったけど、強化人間として洗脳されたフォウとカミーユの哀しい恋物語ほどには家族旅行には惹かれませんでした。

 その翌年におばあちゃんは亡くなりました。おばあちゃんを家にひとりぼっちにして沖縄へ行くのを嫌がった優しい孫だと私を思ってくれていただろうか。頭のいい女性だったからわかっていただろうな。ユウちゃんは、いつも夢中になっている夕方のマンガが観たかっただけだろう、って。

 映画版が古臭い80年代の絵を使いまわしていて、初めはオール新作にしてよ!と思ったのですが、おかげで自分の中の小学五年生の記憶が蘇りました。続きの「機動戦士ZガンダムⅡ恋人たち」も借りてこようと思います。幼い私の憧れた、魅力的だった女性キャラクターたちにまた会いたい。

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