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田町に置いてきた

青春ってなんでしょう。まじまじとそんなことを思う暇を、現代人はきっと持ち併せていないだろうし、先人たちにしたっていつか、過去の道程を振り返ってしかそのことを見つめなおしたりしない。

わたしにとって青春は、田町に置いてきたものだ。そして、あの場所でまだ燦然と光り輝いているはずだ。

「好きなようにやりなよ。もしそれで何かあったとしたら、責任はぜんぶ私が取るから」と言い続けてくれた、初めての女ボスだったあの人の下で、文字どおりはちゃめちゃに仕事した。無理だといわれるとさらに燃えてなんとしてでも達成してみたりした。その代わり、正論ばかり口にしてディビジョンの異なる人たちと常に口論、口論の日々だったから要らぬ傷をつけては自分も傷ついたりして。

そういうことのぜんぶ、見えないところでフォローしてくれていたあの人、いつもそれでも「あんたはそれでいい」と言い続けてくれたから単純に結果だけ追及することが許された。

そうなんだ、わたしにとっての青春とは、「責任を取らずに結果だけを純粋に求めていい時代」の代名詞。その後、こんな時代は社会人人生において二度と現れなくなるのを知った。わたしに青春時代をくれたあの人、あの場所は二度と戻れない時のなかに在るけれど、不思議と胸のなかに強く居続けてくれるので、何かしんどいことがあっても思い出が糧となって今をがんばらせてくれる。

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