2021.7.9 魔法のように××したい

 雨続きで気分がダウナーなときには家に篭ってアマゾンプライムを見ましょう。

 最近、アニメ「Dr.STONE」を見ています。ある日、すべての人間が石化してしまった世界で、主人公たちが科学の知識で文明再建を試みるお話です。ゼロから火薬を作ったり抗生物質を作ったり、純粋に勉強になります。東大生も「勉強になるアニメ」として名前を挙げほどです。原因不明の石化を受けて、「科学ではわからないことがあるんだな」とあきらめ気味の友人に対し、主人公の科学少年が言うセリフが良いです。

「科学ではわからないこもとある、じゃねえ。わからないことにルールを探す、このくっそ地道な努力を科学って呼んでるだけだ」

 科学はあっというまに不便を解消してくれます。しかし、そこには研究者たちの地道な作業の繰り返しがあります。ぼく自身は文系まっしぐらな人生を送ってきましたが、周囲に理系人間が多いのと研究者の書いた本を読むことが好きなので、なんとなく彼らの気の遠くなるようなトライ&エラーを把握しているつもりです。科学は魔法ではありません。先人たちの苦しみの形跡をぼくたちの無知が覆い隠し、〝魔法〟に仕立て上げているだけなのです。
 科学に限らず、すべての物事に理由があって、何の努力もせず達成できる成功はないのです。華々しく見える手品だって、裏には地道な訓練の積み重ねがあります。種がわかればできる手品など、じつはひとつもありません。知識、訓練、経験だけがウケる手品に繋がります。勉強、スポーツ、ダイエット、人生そのものも同じです。ジェフ・ベゾスや孫正義のように、成功の結果だけが目立つ人だって例外ではありません。地道な作業の積み重ねが彼らを形作っているのです。
 でもやらない。最初から大きな成果ばかりに目を奪われ、小さな積み重ねを蔑ろにしてしまうのです。あなたも「もっと自分に適した××があるはず」や「魔法みたいに努力せずに達成できる××があるはず」といった幻想に囚われ、地道でめんどくさい作業を避けていませんか?
 ぼくは避けています。地道でめんどくさい作業をやりたくないです。「こんなことしている場合じゃない!」と思いつつ、チョコレートを食べながらこの文章を書いています。貰い物のチョコレートです。とんでもなく美味しいです。何の努力もせずに毎日このチョコレートが食べたいです。練習せずにバカウケする手品を知りたいです。父親がスティーブ・ジョブズで庭がスタバだったらいいな。みんなみんな幸せになったらいいな。
 遅れてやってきた七夕、蓬生でした。それでは。

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