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都合の良い自分になるな

 サカナクションのリーダー、山口一郎さんのインタビューです。20代だったころの自分の体験や思想について語っています。

 まず、現代の音楽シーンへの考察が素晴らしい。
 社会へのカウンターだったロックがマジョリティーに飲まれていくのを見ながら、ロックと自分たちの存在意義を冷静に再定義する姿勢など、サカナクションのヒットが偶然ではなかったことが窺えます。

 山口さんがインタビューのなかで使っていた、「浴びる遊び」「探す遊び」という言葉も印象的でした。情報の爆発により好きなものを自分で選ぶのが困難になり、周辺から入ってくるコンテンツを浴びるだけで満足してしまう時代になりつつあります。しかし、ときには未開の地に踏み入り、自ら遊びを探しにいくことで、浴びるだけでは得られなかった感動に出合うことができるかもしれません。

 山口さんは、〈自分が影響を受けるものを自分で選んでいたら都合の良い自分にしかなれない〉と言っています。食わず嫌いせず、いくつになっても貪欲に快楽を求めるスタンスを忘れないようにしたいですね。

僕の目は花、探してた

 初めてサカナクションを認識したのは「僕と花」を聞いた時でした。
 なんだか妙に引っかかる曲調と歌詞で、繰り返し聞くうちに楽曲の持つ豊かさに魅了されていきました。

 歌詞のなかに登場する「夜」とは未来の自分であり、過去の自分に「お前の感性を信じて進み続けなさい」とメッセージを送る曲なのだと、私は読み取りました。

 私は今でも時々、息苦しくなる時があります。自分の正しさを疑って瞼が痙攣し、見窄らしく歳をとった自分を想像して胃がキュッと縮まります。何のために生きているのか、何のためにマジシャンなんて仕事をしているのか……。

 しかし、人生には無駄はなく、ただ志を持って生きていれば、いつか救われる時が来る。そう教えてくれる人がいるから、たぶん大丈夫。大丈夫。

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