【女性スペース、性の多様性教育】花田こうじろう伊丹市議12月定例会質問/文字起こし


「女性スペースの安心・安全」「学校における性に関する指導」について質問してくださった、花田こうじろう議員に感謝いたします。
動画はこちらでご覧いただけます。公式の議事録はR6年2月14日公開予定。
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※この文字起こしは筆者が私的に行ったものであり、文中太字なども筆者によるものです。

花田こうじろう伊丹市議、令和5年12月定例会質問「3.性的マイノリティについて」

(1)女性の安心、安全を守る公共施設での対応について

 女性の安心、安全を守る公共施設での対応については、令和3年6月17日の定例会において、生物学的な性差というものが存在し、浴場の区分を始め、何らかの区分や一定の配慮が必要な部分が多々あるとご答弁いただいたところではございますが「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」いわゆる「LGBT関連法案」が令和5年6月16日に成立、令和5年6月23日に公布・即日施行されたことを受けて、市民・国民の間にトイレ、更衣室、浴場あるいはスポーツの場など、生物学的な性差による合理的な女性スペースが守られなくなるのではないか、との不安の声が上がっています。

 令和5年11月には三重県桑名市の温泉施設において、男性が女性浴場に入ったとして逮捕・起訴される事件が発生いたしました。被告は「心は女性なのになぜ女性用の浴場に入ってはいけないのか全く理解できません」などとしており、また、類似の事件も散見されることから、LGBT関連法案に対して懸念されていた事項がまさに現実の問題として起こりつつあると言えます。現在はまだそこまでには達しておりませんが、女性スペースに生物学的男性を立ち入らせないことが差別であると、糾弾される日が来てしまうのではないかとの不安は尽きません。

 私は、誰もが生きやすい社会、性別によってハンディギャップを負うことがない社会、これが男女共同参画の理念であると考えています。一方で、肉体的な違い、性差は現実に存在するわけですから、全てを男女同一としてしまうとそれがかえって一方に不利益をもたらすことになってしまいます。例えば先ほど述べましたスポーツや公衆浴場、トイレ、更衣室を男女で分けないのは明確に女性に不利益を与えます。差別はあってはなりませんが、区別するべき所は区別しなくてはなりません。LGBT関連法案の成立、また社会情勢の変化を受けて、女性の安心安全を守るため、今改めて質問をいたします。生物学的特徴に基づく一定の線引きは必要であると考えますが伊丹市の見解をお示しください。

(2) 学校における性に関する指導について

 これまでは伊丹市独自の教材を用いて教育を行ってきましたが、令和6年度から小学校の保健体育の教科書に多様な性について記載がなされ、文部科学省主導で教育が行われることになります。

 性の多様性に関する教育を行うのであれば、教育の中立性の確保に加え、義務教育段階の多感な時期の子供達の発達段階を踏まえた慎重な取り扱い、そして保護者の理解が必要不可欠となります。

 また、正しい性教育をまともに行えていないにも関わらず「何が多様な性だ、多感な時期の子供達にそんなこと教えてほしくない」といった否定の声があるのも事実です。そういった点を踏まえれば、文部科学省が示す全国画一的なやり方で公務員たる教職員が責任をもって行うことは保護者から見て一定の安心にはつながります。

 一方で、安易に当事者だと称して外部講師を招く事への不安の声も耳にします。何をもって当事者・講師として相応しいかを判断するのは難しいところですが、例えば自らの性別に悩み、手術を受けて戸籍を変えた、そのような中からどのような経験をしてこられ、どのような困難があり、そしてどのような考えをもっておられるか、そういった話であればまだ意義はあるのかもしれません。

 しかし、体は男だけれども女性スペースに立ち入りたい、体は男だけれども女子としてスポーツの大会に出たい、今日は男だけども昨日は女だった、このような主張を子供達に学校現場で聞かすのは不適切であると考えます。そこでおうかがいします。今後性の多様性に関する指導はどのように行っていくのか、これまで使ってきた伊丹市独自の教材はこれからも使うのか、児童生徒に対して外部講師を招いて教育を行うことについて、市の見解をおうかがいいたします。

担当当局答弁

※この記事下部に答弁を記載します。

担当当局の答弁を受け、結びに

 女性スペースが守られなくなるのではないか、との社会の不安に対して、生物学的な性差というものも存在し、浴場の区分を始め、何らかの区分や一定の配慮が必要な面が多々あると明確に答弁していただきました。

 また、教育現場においても、教育の内容について学校全体で共通理解を図ること、児童生徒の発達段階を踏まえること、保護者の理解を得ること、中立性の確保が必要であるとのご答弁をいただきました。
 これらのご答弁は、女性と子供の安心と安全を守るものであると高く評価をいたします。

 私には妻と娘がおります。家内は妊娠中であり、無事に生まれてきてくれれば、来年3月には2人目の娘が誕生する予定です。私は彼女たちが安全に、自分らしく、生き生きと暮らせる社会を望んでおります。そして、世の中の全ての父が、あるいは夫がそう望んでいるはずです。

 女性の安心・安全を脅かすこと、教育現場で特定の思想を押し付けること、こういったことは決して許されません。今後も市の立場を変えることなく、毅然とした対応を貫いていただきますよう期待するとともに注視いたしてまいります。

担当当局(市民自治部長、学校教育部長)の答弁部分

市民自治部長

 私から、性的マイノリティーについてのご質問のうち、女性の安心・安全を守る公共施設での対応についてのご質問にお答えします。議員ご案内の通り、国は本年6月23日に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」いわゆる「LGBT理解増進法」を施行しました。当方は性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、国および地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定、その他の必要な事項を定めたもので、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資するために、いわゆる理念法として制定されたものです。

 議員ご質問の、女性の安心・安全を守るために生物学的特徴に基づく一定の線引きは必要であるとのお考えに対する伊丹市の見解についてですが、厚生労働省はLGBT理解増進法の施行日と同日に通知した「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴場における男女の取り扱いについて」の中で、所管する衛生等管理要領でいう男女とは、身体的特徴をもって判断するものであり、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと考えているとの技術的助言を行っております。また同法が施行された際の内閣官房長官の会見においても女性用トイレ等の利用について、この法律の施行によって従来の取り扱いが変わるものではないと、説明されています。このようにLGBT理解増進法の施行によって浴場の区分等が従来の取り扱いから変わるものではなく、過去にご答弁申し上げました通り、生物学的な性差というものも存在し、浴場の区分を始め何らかの区分や一定の配慮が必要な部分が多々あるものと認識しております。

 そのうえで、トランスジェンダーの方が自認する性別と異なる性別のための施設を使用することは、自尊感情を損ない、大きなストレスとなることから、自認する性別に基づく意志や行動は人権尊重の観点から尊重されるべきものであること、また一方で、一定の場面での行動については、不安を覚える女性が存在する可能性を否定できないことから、一人ひとりの人権の尊重を基本に周囲の理解と個別の事情に応じた対応が必要であり、行政施策等において単純な線引きは難しいものであるとの認識も過去にご答弁申し上げました通りです。性的マイノリティの方に関する対応や、環境整備については、社会全体で取り組まれているところですが、何より日々の生活や個別の問題を解決していくためには、一人ひとり互いに多様な個性や生き方を認め、理解し合い、尊重しようという気持ちや態度が重要であると考えます。

 そのため、本市では伊丹市人権教育啓発推進に関する基本方針において身近な人権問題の一つとして、性的指向・性自認に関する人権侵害を掲げ、様々な啓発を行っています。

 現在国では、LGBT理解増進法の規定に基づき性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本計画を策定中であるとの事ですので、今後も国の動向に注視しつつ、一人ひとりが尊重され多様な市民が地域社会の中で生き生きと暮らせるまちの実現に向け、人権教育・啓発を推進してまいります。

学校教育部長

 学校における性の多様性に関する指導において、学習指導要領にはその内容についての明確な記載はありませんが、昨年12月に文部科学省が改訂した生徒指導提要の第12章性に関する課題の中に、性的マイノリティに関する課題と対応という内容が追記され、そこには性的マイノリティに関する理解と学校における対応および学校外における連携協同について、過去の通知や資料等の内容を含めて示されています。

 性的マイノリティに関する理解と学校における対応については、性的指向などを理由とする差別的な取り扱いは不当であるという認識が広がっているものの、まだ課題があるのも事実です。
 そのようなことから、性同一性障害や性的指向、性自認にかかる児童生徒に対するいじめを防止するために、教職員の理解を深めることは言うまでもなく、生徒指導の観点からも児童生徒に対して日常の教育活動を通じて、人権意識を醸成することの必要性が示されています。
 また、具体的な対応として学級やホームルームにおいて、いかなる理由があってもいじめや差別を許さない生徒指導・人権教育を推進することや、日頃から児童生徒が相談しやすい環境を整えていくこと、当該児童生徒から最初に相談を受けた者だけで抱え込むことなく、組織的に取り組むこと等が紹介されています。

 本市においても最も大切にすべきことは、性同一性障害や性的マイノリティにかかる児童生徒を含め、全ての児童生徒が大切にされ、自分らしく、安心して過ごせる環境を作ることです。そのようなことからも、子供一人ひとりの人権を考え尊重することは不可欠であると考えております。

 教職員に対しては市教委主催の研修会や人権教育担当者会、生徒指導担当者会等において、性的マイノリティに関する研修や情報交換を行う機会を確保するとともに、各学校においては教職員研修等で幅広い視点から協議を行ってまいりました。
 児童生徒に対しては、一人ひとりの児童生徒が安心して学校生活を送るためには、子供達自身が互いの違いを認め合い、存在を大切にしあえる学校・学級風土を培うことが大切であることから、そのために各学校において人権教育推進計画等を作成し、教育活動全体を通じた人権教育の推進、仲間づくりや道徳教育に関する取り組みの充実を図ってまいりました。

 更に平成30年に作成した本市独自の性的マイノリティに関する教材を活用し、小学校低学年・中学年・高学年、中学校1年生を対象に授業を実施しており、教材や指導方法について検討しながら、児童生徒が性同一性障害や性的マイノリティへの理解を深めております。

 議員ご質問の、今後性の多様性に関する指導はどのように行っていくかについてですが、例えば現在小学校の低学年については、オリジナル教材である「いいよそのままで」を使用し、多様性の尊重の素地づくりとして、固定的な性別による見方や考え方に囚われず、多様な個性を認め合うことの大切さに気付くことを狙いとした学習を実施しています。具体的には男の子・女の子の傘の色、自分の好きな色を考えて塗り、それを交流する中で好きな物や好きなことは人それぞれに違って当たり前、ということに気づくことを目指しています。また他にも、小学校共通して「わたしはあかねこ」という絵本を使用した学習を実施しています。「わたしはあかねこ」のあらすじは、他の兄弟とは違う色で生まれてきた毛並みの赤い猫が、周囲からの気遣いに悩みながらもありのままの自分を受け入れ、自分らしい生き方を見つける話です。この絵本を教材として、性自認や性的指向に悩む人々をはじめ、全ての児童にとっても自分らしく生きていくことの大切さを目指しています。
 このような学習を通して、児童生徒一人ひとりが自分らしく生きることや、多様性を尊重することの大切さを学ぶことができるよう、今後も児童生徒の発達段階に応じた取り組みを進めてまいります。

 次に伊丹市独自の教材はこれからも使うのか、についてですが、作成当時は教科用図書等において性の多様性について学ぶ教材が無く、共通教材を作成した経緯がありますが、令和6年度から使用される小学校の教科用図書では、多様な価値が認められつつある社会情勢の変化を踏まえ、道徳や社会・保健体育において性の多様性について触れているものが大幅に増えております。先ほど述べた小学校低学年の教材も含めて、伊丹市が今後採用する教科用図書等の内容に鑑み、オリジナル教材の使用の度合いを検討してまいります。

 次に児童生徒に対して外部講師を招いて教育をほどこすことについての市の見解についてですが、性の多様性に限らず学校における授業は学習指導要領に基づき教員が行うことを基本としていますが、状況に応じて地域の人材や教材を活用して学習の充実を図ることも大切にしております。
 講演を依頼する際には、児童生徒の発達段階を踏まえることや、教育の内容について学校全体で共通理解を図ること、また保護者の理解を得ることとしております。加えて、集団指導として行う内容と個別指導との内容を区別し、計画性をもって実施すること等を重視しております。性の多様性にかかる内容については、教育の中立性の確保や、特に義務教育段階における児童生徒の発達の段階を踏まえた影響等について、適切なものになるようにする必要があり、引き続き教職員とも共通理解を図ってまいりたいと考えております。
 今後も性同一性障害や性的マイノリティを含めた人権課題に真摯に向き合い、一人ひとりの児童生徒が自分らしく、安心して過ごせるよう支援してまいります。

資料等

LGBT理解増進法(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進|政策統括官(政策調整担当) - 内閣府 (cao.go.jp)
厚生労働省通知「公衆浴場や旅館業の施設の共同浴場における男女の取り扱いについて」PDF 001112499.pdf (mhlw.go.jp)
文部科学省 生徒指導提要(改訂版):文部科学省 (mext.go.jp)

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花田康次郎(こうじろう)議員
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