【LGBT、地方自治体の役割、条例】さかもとじゅんいち和泉市議12月定例会質問/文字起こし(1/3)

和泉市議会 令和5年第四回定例会一般質問。 ①公共物を大切に扱う教育について ②いわゆるLGBT理解増進法を受けて 議会中継の動画配信がスタート致しました。 ②の質問については、大変に難しい課題ではありますが、 昨今のLGBTに関するさま...

Posted by さかもと じゅんいち on Sunday, December 17, 2023

「いわゆるLGBT理解増進法を受けて」質問してくださった、さかもとじゅんいち議員に感謝いたします。
大ボリュームのため3つに分割。今回は「LGBT、地方自治体の役割、条例」などについての部分です。
動画はこちらでご覧いただけます。和泉市議会 議会中継 - 発言内容 (discussvision.net) さかもとじゅんいち議員部分
※この文字起こしは筆者が私的に行ったものであり、文中太字なども筆者によるものです。


「いわゆるLGBT理解増進法を受けて」

地方公共団体の役割について

さかもとじゅんいち議員:
 本年6月、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律が施行されました。これは性的指向やジェンダーアイデンティティが多様性を示すなか、日本においてLGBTと呼ばれる性的マイノリティの方々に対する理解が進んでおらず、差別や偏見があるとし、国民の理解を深めていく必要性から法律として示されたものです。

 まずもって、日本国民に理解を求める日本の法律でありながら、キーワードとなる部分がジェンダーアイデンティティの横文字で表現されており、和訳により定義される日本語の解釈が性自認なのか性同一性なのかその定義からして曖昧で意味が分かりにくく、まずそこに説明が必要になるような趣旨を読み取りにくい内容であります。そしてこれは、LGBTで表現されているいわゆる性的マイノリティ、性的少数者の方々からも、そうでないマジョリティからも議論が巻き起こる極めて難解で不可解な法律となっております。

 そもそも日本国憲法第14条にはすべての国民は法の下に平等であって、すべて国民は、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない、とされております。
 また、人権擁護施策推進法、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律など、これにかかる法もすでに制定されており、人権教育により人権尊重の理念の普及や啓発においての取り組みは既になされてきております。

 日本は元々こういった分野において、歴史的にも文化的にも多様性を持った寛容な国民であることはご承知の通りです。それが示すとおり、宗教的観点からもキリスト教やイスラム教のように同性愛者を石打ちや死刑にするような戒律を持ち合わせていません。成人同士の合意による同性愛関係についても禁じる法律はありません。テレビなどのメディアでも、遡ること昭和の時代から性的少数者あることを公言し、それぞれの専門分野で活躍なさってきた多くの著名な方々を思い浮かべることができるはずです。政界においても、同性愛者であることを公言していた東郷健という人物は昭和46年の参議院選挙以降幾度も選挙に出馬し、個性的な選挙運動を展開しました。以降、性的マイノリティであることを公言して政治活動をされた政治家は数しれません。

 そのような中で、今なぜLGBT理解増進法なるものが必要のか、まず国民のその素朴な疑問に分かりやすく答えることの政治家や法律関係者はどれほど存在するのでしょうか。
 とはいえ、このように施行されたからにはその条文にそって国民に理解をいただく必要があり、地方公共団体としても必要な措置が求められていることから、それに対し現段階も本市の考え方を確認するものであります。
 この法案に反対・賛成のような観点から、また、全ての方の人権、平等といった普遍的な価値に疑義を提唱するような論点でこれについて質問するわけではないということを、あらかじめ申し上げておきます。

 そこでまず、本法律の第五条が示す地方公共団体の役割には、基本理念にのっとり国との連携を図りつつその地域の実情をふまえ、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、および実施するよう努めるものとする、とありますが、今の行政においてそれにどのように取り組めているのかをうかがいます。


総務部長:
本市においては、多様性を認め合う人権尊重のまちづくりに向けて、性的マイノリティの方の生きづらさを少しでも解消するため、大阪府パートナーシップ宣誓証明制度を活用した取り組みを行っております。この制度は日常生活においてお互いがパートナーであることを宣誓したことを証明するもので、大阪府に申請することで宣誓書・受領証が交付されます。この受領証は法定の婚姻関係ではないため法的な効力はありませんが、事実婚関係を夫婦とみなして対応している制度やサービスに活用でき、本市においては市営住宅の入居、同居、市立総合医療センターでの入院患者の面会、南部地域等移住定住支援補助金や災害見舞金などの手続きが可能となっています。
 また市のホームページではセクシャルマイノリティ相談窓口についての情報を掲載するとともに、広報和泉のSDGsコーナーで多様な性について掲載し、正しい理解が広まるよう努めております。以上です。


さかもとじゅんいち議員:
 本市では大阪府パートナーシップ宣誓証明制度、現在大阪府全体では193件ほどの届け出があるようですけれども、それを活用して行政サービスにいかしているということであります。

LGBT理解増進法や性的マイノリティに関連する施策の条例について

さかもとじゅんいち議員:
 次に同第五条には、地方公共団体として国民の理解の増進に関する施策を策定せよ、と示されており、これは条例制定のような形で取り組むように求めていると理解できます。この法律制定以前からLGBT理解増進法や性的マイノリティに関連する施策を条例化しているという事態は少なからずあるわけですが、本市の条例や大阪府の条例においてそこにかかる規定があるのかお聞きします。


総務部長: 
 まず市の条例のうち、性的マイノリティに関連する規定を定めているものとしては、和泉市男女共同参画推進条例があり、男女共同参画の基本理念の一つとして性同一性障害者等の人権について配慮されることを定めております。次に大阪府の条例では令和元年に大阪府性的指向および性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例が制定されておりまして、全ての人の性的指向および性自認が尊重される社会の実現に資することが目的とされています。以上です。


さかもとじゅんいち議員:
 和泉市においては平成19年に設置された男女共同参画条例の一文に、性同一性障害の人権という観点で記されたものがあるということです。
 しかしながら、この法律の示す性的マイノリティの表現に示されている方々にも多様性があるということをベースに考えたときに、国が考える施策の策定においてはもう少し踏み込んだ内容が求められてくるというように見てとれます。
 しかしこの法律の不足には、この法律の規定についてはこの法律の制定後三年をめどとしてこの法律の施行状況等を勘案し検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置がこうぜられるものとする、というようにもあり、この法の推進においては学術機関や関係機関との連携、国民の理解の浸透度などでアップデートされていくということも示しており、地方公共団体として即座に条例で規定するということを求めているというものでもないことから、慎重な検討が求められているというように言えます。
 また地方公共団体は地域の実情も踏まえながら施策の策定や実施を行うよう規定しており、多様性を認め合う人権尊重のまちづくりを目指す和泉市として、市民、市内事業者、行政、教育機関などそれぞれが法や条例の指し示す内容について、一定の理解と納得を得られる条文としていかなければ意味をなしません。

 そこで、条例等の策定において地方公共団体に対し、何か指針となるようなものが指し示されているのか。また現段階での条例策定の必要性について本市の考えをお聞きします。


総務部長:
 LGBT理解増進法において、国がLGBTへの理解を深めるための基本計画や指針を策定することとなっておりますが、現時点では具体的な内容は示されておらず、市として法律に基づく理解増進をはかる条例の必要性は検討しておりません。以上です。


さかもとじゅんいち議員:
 現段階ではそれでよいのだと思います。この施策においては、他の法律との整合性ですとか国の示す基本計画、指針などが一定明確になるまで慎重に見守る必要があるように思います。

資料

LGBT理解増進法(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進|政策統括官(政策調整担当) - 内閣府 (cao.go.jp)
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 | e-Gov法令検索
(1)人権擁護施策推進法(平成8年法律第120号) (失効:平成14年3月25日):文部科学省 (mext.go.jp)
東郷健 - Wikipedia

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