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Is this the Good Place or the Bad Place?

 Netflixはやはりどう考えても革命だと思う。
 国内外問わず、様々なジャンルのドラマ・映画が月々たった数千円で見放題。一時期Netflixにハマりすぎて、Googleの検索ボックスに”Netflix依存症”と打ち込んで検索したけれど、なにも引っかからず、私だけかと落ち込んだことがあった。
 しかし、ひょんなことで知り合ったイギリス人に「Netflixを観ることが趣味なんだ」と話したら、彼も”I am addicted to it.”って困り顔でぼやいていたので、中毒症状は少なからずあるらしい。

 Netflixの名作を挙げたらキリがないけれど、今日は久々に観てもう一度ハマったGood Placeを紹介したい。なお、ネタバレを含むので、まだ観ていない方はこの先は読まないでくださいね。

 Good Placeの主役を演じる女優、クリスティン・ベルは、なんとアナと雪の女王のアナの声優だ。よく見るとバーレスクにも出ていたりして、歌も演技も完璧な彼女なのに、今回の役はアリゾナ出身の自己中女。でもその役も見事にハマっていて、回を重ねるごとに彼女が精神的に成熟していく姿と、相変わらずの根拠のない自信は、観ていて清々しい気持ちになる。

 最初にGood Placeを観た時は、シーズン1の最終話でどんでん返しが起こって、そこからまたシーズン2が始まり、怒涛の一気見に近い形で見終えてしまったけれど、2周目に観た時はもう展開はわかっているので、言葉や表情含めた演技に集中して観ることができた。そうすると改めて、クリスティン・ベルが息を呑んで「Holy mother forking shirtballs.」と叫んでから「This is the bad place.」に至るまでの演技に鳥肌が立ち、そして、今私たちが生きているこの世界も、もしかしたら神様が人間を拷問するために作ったBad Placeなのかも、と初めて観た時には気付かなかったことを発見した。

 よく考えてみれば、色々とおかしい。
 そもそも動物は何かを食べなければ生きていけない。力の強いものが生き残る弱肉強食の世界。食べ物は何故か全て消化できず、ほぼ毎日排泄が必要となる。一旦出てきてしまうと排泄物は不衛生の塊となる。そのサイクルが死ぬまで続く。この基本的な動物の性質の上に、人間は理性を駆使して様々な発展を遂げてきたものの、いつまで経っても戦争は終わらないし、自然災害が突然起こって当たり前の日常が過ごせなくなることもあるし、誰にでも平等に機会は与えられないのに悩みだけは尽きないし、手を取り合って助け合おうにもそもそも人は150人以上の人間を仲間とは認識できないようだし・・・。

 これはきっとマイケルみたいな神様が、Bad Placeを作って、前世で悪いことをした生物みんなを拷問しているんだ、と考えると、本当に辻褄が合ってしまうのだ。一体この世界の何人の人が、ここがGood Placeだと答えるのだろう。自分はGood Placeだと思っていても、Bad Placeだと考えられないような境遇に立たされているひとが、この世界に1人でもいる限り、ここはGood Placeとは呼べなくなる。

 だからきっとこの世界はもっとシンプルで、やるべきことはたった一つ、善い行いなんじゃないか。教育、勤労、納税。そんな人間が決めた義務ではなく、世界にとって善い行いをするものだけが、きっとこの世界から抜け出して、本当のGood Placeに行くことができる。寄付なのか、NPO法人の設立なのか、はたまた自給自足の生活なのかはわからない。けれど、たった一つ、善い行い、というのは人生の目的に向いている気がする。

 そして、この本質に気付いていたのかいないのか、同じような言葉を娘に書き残したMaya Angelouの或る一文にハッとさせられたので、最後に紹介して締めようと思う。
 私も最期にこんな事が書ける、立派な女性になりたいものだ。

“誰かの心の雲にかかる虹になる努力をしましょう。
愚痴はほどほどにしましょう。
好きじゃないことは全力で変えていきましょう。
変えられないなら、これまでの考え方を変えてみれば良い。
そうすれば、新しい解決策が見つかるかもしれないわよ。
泣き言を言ってはだめ。獣に獲物がいることを知らせてしまうから。
人類にとってすばらしいことをしないまま死なないで。ぜったいにね。

Letter to My Daughter


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