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歳をとると、選球眼はどうなる?コンタクト率はどうなる?

プロ野球選手の平均寿命は約9年、引退時の平均年齢は約29歳と言われている。20代前半で戦力外通告を受け、次のキャリアへと進む者もいれば、プロで20年以上のキャリアを積み、40歳を超えてからファンに惜しまれつつ引退する者もいる。様々である。

歳をとるにつれて、アスリートは老化によるパフォーマンスの低下に悩まされる。個人差はあるものの、切っても切り離せないものである。

そこで今回は歳をとると、Plate Disciplineデータはどう変わってくるのかを見ていく。

100打席到達人数

まずは、年齢による変化を見るために、2014~2018年の5シーズンにおける年齢ごとのシーズン100打席到達人数の推移を見てみよう。

当然のことながら、年齢が上がるににつれて、100打席に到達している人数は減っている。40歳を超えて100打席以上立つというのは凄いことなのである。

選球眼

Plate Disciplineとは日本語で言うならばゾーン管理である。ゾーン管理をする上で大切なのが選球眼である。「あのバッターは選球眼がいいからボール球は振ってくれない。」、「あのバッターは選球眼が悪いから、ストライクからボールになる変化球で勝負しよう。」というのをよく耳にする。

選球眼の善し悪しを測るのに適した指標がある。それがO-Swing%である。O-Swing%とはボールゾーンスイング率を表していて、高ければ高いほど選球眼が悪く、低ければ低いほど選球眼が良いとされている。

まずは歳をとるにつれてO-Swing%がどう変化していくか見てみよう。
下の表は、2014~2018年の5シーズンで''2年続けて100打席以上に到達した選手''の成績を拾いだして、その差を表しているものである。

グラフの見方としては、一番左は30~31歳にかけてO-Swing%が平均0.9下がっていると読み取れる。
34~35歳を除いて、すべてO-Swing%は下がっている。

※ここで注意してほしいのはこの表から30歳~35歳のO-Swing%の変化は読み取れないということである。それぞれサンプルが異なっているので、表に載ってるように1年刻みでしか変化を見ることはできない。

次に30~33歳の推移を見てみよう。

O-Swing%が平均1.9下がっている。
実は驚くべきことに、歳をとるにつれて選球眼は良くなるのである。
上の表では37歳までしかなく、そこまでしか言えてはいないのだが、38歳以上でもそうなる可能性はある。

※しかし、40歳を超えてくると、そうも言えなくなってくる可能性があるので注意(サンプルが少なすぎて検証は出来なかった。)

歳をとるにつれて選球眼が良くなる理由としては、経験に基づき自分の中でのストライクゾーンが確立していくからだと推測する。何千球、何万球とボールを見ていくうちに曖昧だった自分の中でのストライクゾーンが、徐々にきっちりとしたものとして形成されていくのだと思う。

スイング率

次に、歳をとるにつれてSwing%(スイング率)がどう変化していくか見てみよう。表は先ほどと同じように作成した。

これをみると、ほとんど変化しなかったのが分かる。34~35歳はSwing%が平均1.5上がっているが、35~36歳は平均1.0下がっているので、誤差として考えても良さそうだ。

つまり、元からバットを振り回すタイプはずっと振り回すタイプであり、ボールをじっくり見ていくタイプはずっと見ていくタイプであるということである。

コンタクト率

次に、歳をとるにつれてContact%(コンタクト率)がどう変化していくか見てみよう。表は先ほど同じように作成した。

これを見ると、下がったり上がったりはあるもののあまり変わらないということが分かる。

次に30~33歳の推移を見てみよう。

Contact%が平均0.4下がっている。多少は下がっているが、誤差としてとらえられそうである。

歳をとるにつれてコンタクト率は落ちそうと思う人は多いかもしれないが、意外にもあまり変わらないという結果になった。

多少のコンタクト率落としたりしてでも、若い頃のように長打を狙い続ける選手がいたり、コンタクト率を保つために長打を減らして、ミートしに行く選手がいたりと様々なので、こういう結果になったと推測する。ベテランは若い頃と同様の動きが出来るわけではないので何かを捨ててでも活躍できるようにと考えながらプレーしてるのが伝わってきた。

まとめ

・当たり前のようなことだが、40歳を超えて1軍プレーするというのは凄いこと。

・選球眼は歳をとるにつれて良くなる。(選球眼と経験は密接な関係)

・振り回すタイプはずっと振り回すタイプ、じっくり見ていくタイプはずっと見ていくタイプ。

・歳をとっても、平均的にはコンタクト率はあまり変わらない。

・ベテランは老いに対抗するために何が優先事項かを考えながらプレーしている。







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#ベテラン #老化 #プロ野球 #NPB #セイバーメトリクス

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