沖縄の話〜柳広司『南風に乗る』
かおりさんへ
こんにちは。
このあいだね、恒例の50代女子3人南の島で夏休みに行ってきました。今年は沖縄本島へ。まあ、ダイビングをするわけでもなく、シュノーケリングをするわけでもなく、海を見ながらもっぱらビールを飲んで、ただただ美味しいものを食べて、ぐてーっとするだけの旅なんですけどね。
まあ、そんなわけで、せっかく沖縄に行くし、気分を上げて行こう!くらいな気持ちで表紙が沖縄のこの本を図書館で借りたのですよ。忙しかったから、読んだのは帰ってきたからなんだけどね……。柳広司「南風(まぜ)に乗る」
読んでみて、ジャケ借りしてる場合じゃなかったわと思いました。もともと柳広司の「ジョーカーゲーム」のシリーズとか「風神雷神」が好きだったのね。帯に「実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「戰い」を描く傑作長編」とあったので、軽い話ではないことはわかってはいたの。本当に、背筋を伸ばして読むべき本でした。全編を通して、柳さんはどうにも受け止めきれない「怒り」を伝えたかったんだろうなということが伝わってきました。
本の最初の方で亀次郎がこんなことをいう。
亀次郎の戦いはどんな状況になっても本当に粘り強く、亀次郎本人の魅力で人々の心を動かし、それは大きなうねりとなり、今現在に至るまでそのスピリットを沖縄の人にしっかりと根付かせているんだろうなと思った。
私たちが泊まった読谷村(ヨミタンソン)でも、読谷村に向かう途中で通った嘉手納(カデナ)でも、悲しい事件がたくさん起きていた。でも、沖縄の人たちは絶望しながらも何度も気持ちを奮い立たせて、令和の今に至るまでみんなで戦い続けているのだなと。
私はくしくも沖繩本土復帰の1972年生まれなんだよ。あ、年がバレた。まあいいか。記念yearとは言え、本当の意味では本土復帰とはとても言えないと知ったんだけどね。
沖縄は大好き。食べものも景色も人ももちろんオリオンビールも泡盛も。ただ、フェンスに囲まれた基地の横を通っているのに、バカンスと歴史は少し距離のあるものとして捉えてた。大好きな沖縄で起きたこと、今も継続して起きていることに目をつぶっている場合ではない。無関心でいること、それこそが一番の問題なのだと沖縄土産の食材を食べながら、再認識したのでした……。
うっかり熱くなってしまいましたが、次に会ったときには紅芋タルトとロイズ石垣島のチョコレートをお渡しいたします。かおりさんとも旅行に行きたいな。では、また。
2023年9月8日
やすこより
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?