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人生は素晴らしい、生きるに値するの話〜藤田和日郎『ゴーストアンドレディ』〜

かおりさんへ

先日、劇団四季の「ゴーストアンドレディ」を観にいったの。張り切って、クリミア戦争とかナイチンゲールについて予習してから行ってみたんだけど、いやあ、演出もストーリーも素晴らしかった。1幕が閉じた時点で「コレの原作が読みたい!」と思って、Amazonでポチッとしてしまいました。早速届いて爆速で読み終わった、原作の藤田和日郎『ゴーストアンドレディ』についてお話ししようと思います。

劇団四季のガイドブックによると脚本の高橋さんは原作者の藤田さんに相談しながら、脚本作りをしたんだって。だから、当然といえば当然なのだろうけど、かなり原作に忠実な作りになっていて、原作をリスペクトしていることがよくわかったわ。

なぜ、劇団四季は藤田さんの『ゴーストアンドレディ』をミュージカルにしたいと思ったのか、それは「人生は素晴らしい、生きるに値する」という理念にピッタリのお話だったからなんだって。

原作とミュージカルは違うところももちろんたくさんあるんだけど、どっちもいいんだよね〜。原作にもシェイクスピアやマザーグースの引用があって、文学的で奥深いんだけど。なによりフロー(ナイチンゲール)と、グレイ(シアターゴースト)が魅力的。

フローは、看護という分野で今までになかったシステムを確立し、社会科学者としても活躍した偉人と言われる人。でも、このお話のなかでは、悩み、戸惑い、若干エキセントリックなひとりの人間として、普通の人も共感できる女性として書かれているんだよね。

グレイと劇場で出会い、「絶望した時に取り殺す」という約束をした奇妙な関係性を持ちながら、次第に惹かれ合い、支えあっていくのだけど。ともかく、「やらねばならぬこと」を地道にコツコツやり続ける姿には尊敬の念しかないし、グレイに「剣士」としての戦い方を伝授されてからは、猪突猛進に病院があるべき姿になるよう、権力がある人に効果的に訴え続け、欲しいものを手に入れていく。

いざって時にフローが放つ言葉はただただカッコいい。そんな一節

ホール…たとえそれが「偽善」でも貫き通さねばならない「偽善」がある。
その戦いは皆で手を取り合えるものではなく…
一人だけの戦い…でも私は信じている。
「偽善」でしか成し遂げられない「善」があるのです。

下巻より

信念を持つこと、そして強い意志で前に突き進むこと、今の時代では「ダサい」と言われてしまうかもしれないけど。それでもやっぱり、私は「人生は素晴らしい、生きるに値する」と感動をしてしまった。お話の中くらい夢を見てもいいじゃんねって。

そんなわけで、観劇&原作で比べることができて、2度美味しい体験でした。ちなみに、私は原作の終わりかたの方が好きです。ネタバレになるからこれくらいで。では、また。

2024年11月15日
やすこより


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