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芸大・美大オンライン授業化――新たな文科省事務連絡に書かれていること

こちらの記事で、文科省が出している「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」という通知では、オンライン授業化で授業の質の確保が全くできていない演習系の授業を受けざるを得ない学生への配慮が足りないと書きました。

しかし、文科省は5月1日付けで「遠隔授業等の実施に係る留意点及び実習等の授業の弾力的な取扱い等について」という事務連絡を出しました。ちなみに、省庁が出す「事務連絡」は、法令運用に直接かかわらないですが、細々した事柄を関係機関にお知らせやお願いをするものです。

この事務連絡には、以下のようなことが書かれています。

2.実習等の授業の弾力的な取扱い
(1)実習・実験・実技により行われる授業(以下「実習等の授業」という。)についても,以下に示す考え方も参考としながら,新型コロナウイルス感染症への感染リスクに十分配慮しつつ,必要な学修の機会を確保していただくようお願いします。
 ア  臨時休業等により大学等に通学できない期間
 可能な限り,面接授業に相当する教育効果を有する遠隔授業等により代替しつつ,各大学等において面接授業が不可欠と判断するものについては,後期・次年度以降に実施するなど実施時期の後ろ倒しにより対応することが考えられます。そのことに伴って,授業計画(シラバス)等を修正する場合には,学生に対する丁寧な説明に努めてください。
3.個々の学生の状況に応じた学修機会の確保
 学生の個別の状況等も踏まえ,補講授業の開設や,後期・次年度以降における再履修を可能とするなど,それぞれの学生が必要な教育を受け,学修の機会が確保できるように配慮していただきますようお願いいたします。
 特に,美術,音楽や体育関係の分野等,遠隔授業の実施によっては面接授業に相当する教育効果を認めることが困難な授業科目が多く開設されているような学部等においては,学生の状況や希望等も踏まえ,こうした修学上の様々な配慮や工夫について検討を行うようお願いいたします。
 また、従前より授業の実施時期・方法の変更や,これらに伴う授業計画(シラバス)等の修正については学生に対する説明を行うようお伝えしているところですが,学生が単位取得等について大きな不安を抱えていることも踏まえ、より丁寧に説明することに努めてくださるようお願いいたします。

つまり、対面授業が必要不可欠なのに、今年度前期はオンライン授業になってしまった演習系の授業について、文科省は大学等に対し、「実施時期の後ろ倒し、補講開講、再履修などを可能にし、学生が必要な教育を受け学修の機会が確保できるよう配慮してね!」お願いしています。具体的に踏み込んだ内容となっていおり、個人的には一定の評価ができると思います。

野党共同会派は「新型コロナウイルス感染症により影響を受けた大学・専門学校等の学生の支援に関する要請」を文科相に提出しており、学費減免等の経済的な学生支援とともに、「特に芸術系・スポーツ系等の実習が主となる大学についても単位認定等に特段の配慮をすること」との要望がなされていました。


また、先月、文科相の萩生田光一衆議院議員の事務所に、芸大・美大のオンライン授業化についての懸念点を文面でお伝えしたところ、「皆さんの学びの機会が失われないように省としてもあらゆる手段を尽くします」との力強い返答がありました。萩生田文科相には引き続き、学生支援のために動いてもらいたいです。

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文科省がこうした配慮のお願いを出した以上、各芸大・美大はこの事務連絡に基づいて、「授業料に見合った授業内容とその質」を確保するよう、シラバスの修正を含め、必要な配慮・措置・丁寧な説明を行ってほしいですし、学生はそれを求めていくべきだと考えます。

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