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【小説】うち別に、人間のこと殺したいわけじゃないんだよね

 うち別に、人間のこと殺したいわけじゃないんだよね。  っていうか、むしろほんとは全然殺したくない。潰れて血出ると、跡残るし。視界に入れたくない。目がぬるぬるしてる時点で、めっちゃ無理。足もなんか長いし……。でも、家に入ってきちゃうんだからしょうがないじゃん。  だいたいさ、うちらが人間を死なせるのってそんな悪いこと? 別に、外に出て無差別にやってるわけじゃないんだし。うちら、部屋に入ってくる人間しかやってないのにさ。てか、なんで来んのかな。ここは心霊スポットだって、もう十

    • 【ホラー小説】ウレタン上のスマイル

       今日はお家のお皿が6つも割れてた。寝る部屋の壁の染みも、昨日よりずっと大きくなってた。どうしよう、やっぱりもうダメなのかな。せめて誰かと一緒に背負えたら、なんて思っちゃう私は酷い人だね。  この生活が終わったら嫌だなあ。同じアクターの子もみんな優しいし、子どもはみんなかわいいし、乃美ちゃんのことも大好き。でも私がダメになるだけじゃなくて、乃美ちゃんたちのことも巻き込んでしまったらそれはもっと嫌。私はみんなを笑顔にするのが仕事なのに、誰かが不幸になるなんて悲しすぎるもん。だか

      • 【創作BL小説】次はなかよしになれるよね

        イマジナリーフレンドの少年とイマジナリーフレンドの悪役(獣)のはなし/獣は獣耳〜獣人あたりのイメージ/若干ループもの/死・虐待の描写を含みます 「今回も僕の勝ちだね」  今日の最期は森の真ん中だった。星を覆い隠す背の高い木々が、救いも突き放しもせず、ただ僕らを黙って見下ろしている。  今日もまた、君は僕に勝とうとした。今日もまた、君は僕に勝てなかった。 「だめだよ、おおかみくん。最後に勝つのは絶対に正義なんだ。物語って、そういうものだよ」  しゃがみこんで、木にもた

        • 【創作BL小説】メンタル弱い殺人犯の男をサイコ人質の少年が弄ぶ話

          殺人などの犯罪描写があります。 「ねぇお兄さん。明後日、ヤレるよ?」  慣れた様子で玄関口をくぐった凪は、口端を吊り上げて歪な笑みを浮かべた。  そいつが見せつけた、スマートフォンの画面を見る。映っていたのは、壁に貼られた粗末な紙。「19〜21日、旅行につきおやすみします」。近所にある、自宅で食堂を開いている店の休業を知らせた張り紙だった。 「……やるって、何を」  当然分かっているが、その答えを疑いたかった。聞いておきながら、俺はその回答を聞きたくなかった。 「

        【小説】うち別に、人間のこと殺したいわけじゃないんだよね

          【短編百合小説】彼女は私の神様

           今日は、私が好きだったものの話をしたい。  今らしく「推し」と表するなら、私の推しは物語の中にしかいない。彼女はこの世界には存在しない。存在しないからこそ、彼女は神様みたいに完璧な人だった。  いつも笑顔だけど悲壮感に溢れていて、辛い過去を思うとその顔にはどこか暗い影がちらついているように思える。友達はたくさんいるけど、きっと誰も彼女を理解してはいない。彼女は周りに与えるばかりで、自身を受け止めてくれる人はいない。自分の身を焦がし続けながら、なおも神様のように周りを照らす

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