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屠龍の月も終わり獣狩の季節に移り変わると冬を越すための肉や毛皮を求めて男たちは弓矢を片手に野や森に分け入る。あちこちで猟犬が獲物を追い吠えたてる声が響き渡り、矢が行き交う。年の最後の恵みを狩り終えるとそれぞれの街へと戻り、女たちが仕留めた獣の毛皮をなめし肉を干すのだった—— 橋の袂で檄を交えてからわずか三日後ユージーンとルゥ、そして数人は数ヶ月ぶりに地下水道跡に足を踏み入れていた。相変わらず中は薄暗く湿っている。前と比べて少し肌寒くなったことぐらいしか変わりはなかった。
夏の収穫が終わるとシャトランジには早くも冬の気配が漂い始める。北のアートルムから山脈を越え吹き降ろされる風は冷たく乾き人々の体温を奪っていく。男たちは森へ入り鹿を狩り、女子供は薪を拾い集め長い冬を乗り越えるための支度を始めるのだった—— 農耕地で繰り広げられた両陣の戦いは熾烈を極め互いに甚大な被害を受けた。重傷を負ってなお止まる勢いのないリーヴェスの猛攻によりニキータ率いる教団兵たちは壊滅に陥ったものの遂にはそのリーヴェスも息絶え戦場となった場所には狂い笑う声が一つい