第5話 慟哭の賛美歌
麦の収穫を終え一層夏らしさが深まった頃、シャトランジでは大体的な音楽祭が開催される。皇都の音楽ホールには諸国からの楽団を迎え連日多くの公演がなされる。街の広場でも人々はエールを片手に楽器を引き鳴らし歌を歌い陽気に過ごす。。大聖堂では聖歌隊が組まれ一月に渡って美しい聖歌が奏でられ国全体が歌に包まれるのだった_
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迎春祭を迎えてから早二月喜雨の月、穂麦の月を過ぎ季節は夏の真っ只中祝歌の月に差し掛かっていた。明り取り用の小窓から流れてくる陽気で華やいだ音楽に耳を傾けながら一人溜息