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Battle of Shatranj

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2021年7月の記事一覧

第5話 慟哭の賛美歌

麦の収穫を終え一層夏らしさが深まった頃、シャトランジでは大体的な音楽祭が開催される。皇都の音楽ホールには諸国からの楽団を迎え連日多くの公演がなされる。街の広場でも人々はエールを片手に楽器を引き鳴らし歌を歌い陽気に過ごす。。大聖堂では聖歌隊が組まれ一月に渡って美しい聖歌が奏でられ国全体が歌に包まれるのだった_ * 迎春祭を迎えてから早二月喜雨の月、穂麦の月を過ぎ季節は夏の真っ只中祝歌の月に差し掛かっていた。明り取り用の小窓から流れてくる陽気で華やいだ音楽に耳を傾けながら一人溜息

第4話 金色の野に女神は踊る

春が過ぎ夏の日差しが注ぎ始めた頃畑の麦は金色に染まり、辺りは一面金の野原が広がる。西から強い風が吹き農地の風車が音を立てて回る。青々とした草が生い茂るシロンス草原には家畜が放牧され、城下ではチーズやパン、エールが出回り出すのだった_ * 迎春祭を機に進軍を始めたセヤの魁部隊はソレブリア砦にて待ち構えていたタビタ率いる帝国陸軍中隊と衝突。砦はルゥによる魔術砲撃によって半壊、敵将タビタはアルバートによって討ち取られ、その首は帝都に送り届けられた。この戦いによって帝国陸軍随一の中隊