バッチャン焼きのこと
ホーチミン旅行で知ったバッチャン焼き(Gốm Bát Tràng)。ただそのときはバッチャン焼きは買わなかった。ホーチミンの日本人観光客の間で人気の、ある雑貨屋さんオリジナルのバッチャン焼きが実はバッチャン焼きではないと知ってしまったから。
そもそもバッチャン焼きとは、ハノイ郊外のバッチャン村で焼かれた焼物。有田町で焼かれた有田焼みたいな。
で、この雑貨屋さんオリジナルの焼物たちはホーチミン市内のトゥードック区で焼かれているらしい。確かに雑貨屋さんのホームページにはバッチャンとは一言も書かれてない。
とは言え、洗練されたバッチャン焼き風デザインはとても素敵で、なんならバッチャン焼きより可愛い。でもやっぱり欲しいのはバッチャン村のバッチャン焼き。この雑貨屋さんに限らずホーチミンのお土産屋さんに置いてあるバッチャン焼きはトゥードックで作られてるかもと疑ってしまう。本物のバッチャン焼きは必ず裏に「Bat Trang Vietnam」って刻印がある、なんて日本語のサイトにはよく書いてあるけどそんな刻印いくらでも真似できるから全くアテにならない。という事はバッチャン村に行くしかない。
んで、ハノイ旅行のときに路線バスでバッチャン村まで行ってきた。バッチャン村はハノイ市街から南東に13km程の場所にある。片道7000ドンの旅。
蜻蛉柄の小鉢を購入。3万ドン。
こっちの菊と蓮の小皿は2万ドン。
小鉢×4、小皿×4の合計8皿20万ドン。やっすーうぃ。和食に使い勝手のいい小鉢はマレーシアでは売ってないのでヘビロテ中。ほんとはもっと欲しかったけどホーチミンを出発してビエンチャン、ルアンパバーンに続く三つ目の目的地でさすがに荷物パンパンで諦めた。
ちなみにバッチャン焼きは日本人観光客によって大きく分けてニューバッチャンとオールドバッチャンの二種類に分類されていて、前者は名前の通り外国人観光客用、海外に輸出するOEM用のモダンなデザインの物、後者は伝統的なデザインの物のこと。
ニューバッチャンとしてハノイ市内で売られていたお皿たち。可愛いね。バッチャン村で作られるOEMの中にはIKEAやZARA HOMEの商品もあるみたい。
今回私が買ったのはオールドバッチャンにあたるもの。オールドバッチャンのデザインには縁起物の「蜻蛉」「蓮弁」「菊唐草」が多用される。このうち蜻蛉について、朱印船貿易時代の日本では蜻蛉柄が人気だったので、日本人が安南(当時のベトナム)に蜻蛉柄の焼物を注文して、それが次第にベトナムでも定着したとよく解説されている。つまりベトナムではもともと蜻蛉は縁起物ではなかったということ。蜻蛉柄の安南焼きは特に蜻蛉手と呼ばれ日本で好まれたらしい。蜻蛉は勝ち虫とよばれて特に武士に好まれた縁起物。この3つのモチーフについて
蜻蛉(chuồn chuồn) = 幸運
蓮(hoa sen) = 純粋
菊(hoa cúc) = 金運
を表すと見かけるのだけど、蜻蛉が日本から持ち込まれたモチーフだとして、ベトナムで蜻蛉が幸運の象徴になったのはどういう経緯があるんだろう。蜻蛉柄はベトナムだけでなく、日本、韓国からの観光客向けに作られている、っていう英語の記事は見た。でも日本からの注文で、っていう記事はまだ見つけていない。
このnoteを書くにあたって色々調べ物をして、日本語のサイトだけで調べ物をしてはダメだとつくづく思った。冒頭の雑貨屋さんも、日本語のサイトではバッチャン焼きのお店として紹介されてるけど実際は違う。ためにし”Bat Trang Ceramic Ho Chi Minh ◯◯(店名)”で検索しても全くヒットしない。もし本人達にバッチャン焼きを売ってるつもりは無く、日本人観光客が勝手にバッチャン焼きと言ってるのなら、ここであの店は偽物だと名前を出すのは可哀想だと思った。「Bat Trang Vietnam」の刻印の話だってそう。バッチャン村にも刻印のない物あったのに。
References:
安南焼とは - コトバンク
朱印船 - Wikipedia
ベトナムの伝統的な陶器「バッチャン焼」その魅力とは? | TRIPPING!
モダンなバッチャン焼(ベトナムを代表する陶器)が揃うショップ「AUTHENTIQUE」 | グッチのVietnam★Local Foods
The Ceramics of Bat Trang, Vietnam | Kitchn
Vietnamese ceramics - Wikipedia
059 バッチャン焼 | Found MUJI | 無印良品
296 バッチャン焼き | Found MUJI | 無印良品
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?