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息子のおごりで居酒屋へ ①


ある日の夜、社会人2年目の息子から
「ねぇ、今度居酒屋いかない?おごるからさ。」とのお誘いが。
・・・ん?おごり?そりゃ行くでしょ!と喜んではみたものの、
なんだか嫌な予感もする。何か父親には内緒の頼み事でもあるんだろうか。

当日。駅前にある居酒屋を予約してくれていたらしく、
息子の案内に従って初めて行くお店に到着。
こじんまりしたお店で落ち着いた雰囲気の居酒屋。

席に着いてすぐに生中を2つ注文。メニューを渡されて
「好きなもの好きなだけ頼んでいいよ。」と言う息子。
こ~んな気前のいいこと言っちゃって、一体どんな話をされるのか
ドキドキしてメニュー選びが全然進まない!
まぁ好みは大体似ているわけで、息子に一任することに。

ビールが運ばれてきて「おつかれ~」と乾杯。
グビグビとジョッキ3分の1ほど飲んだところで遂に息子から
今回のお誘いの主旨が語られ始める。

「あのさ、会って欲しい人がいるんだよね・・・」

・・・へ?
彼女がいるって話は聞いていたけど、
「会わせたい」なんて言ってきたのは初めてのこと。
これは、今回ばかりは『結婚』を見据えた真剣交際ってこと?!
いやいや、息子はまだ24歳。ようやく仕事だって慣れてきたところだよね。まさか、授かってしまったとか・・・?
頭の中で色んな邪推が巡って不覚にも動揺してしまったけど、
とにかく平静を装った声を絞り出す。

「別にいいけど・・・」

けど、の後が続かない。
私の中で(会ってみたいけど、会いたくない)というような複雑な感情が
沸き出していた。なんだろう、いつも彼女の話を聞くたびに
「今度連れておいでよ~。」なんて言ってたくせに。
真剣味を感じた途端に怖気づいちゃってる自分がいる。

「前に話してた大学時代から付き合ってる子?」
「違うよ。その子とは随分前に別れた。」

おいおい、んな次から次へと彼女ができるような容姿でもないのに
どういうことですか。イマドキ珍しい肉食男子。誰に似たんだ!
2杯目のビールを注文する息子に続いて冷酒を注文。
ちょっと強めのお酒を飲んで勢いつけたくなった。これが大正解。
次に息子の口から出た言葉に衝撃を受ける。

~つづく~



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