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息子が彼女を連れてきた ②


事前に息子からは、
「変なこと言わないようにね。」と釘を差されていた。

この変な事というのは、息子の何か恥ずかしい話とかそういう意味ではなく
私が日頃から要所要所で巧みに繰り出すダジャレだったり、下ネタだったり
そういう意味の変な事、だ。

失礼な・・・私だって、それくらいの分別はありますよ。

とはいえ、めちゃくちゃ緊張している彼女を前にかしこまってても
余計に緊張させてしまうので、いつもの陽気な自分のまま話をしていく。

他愛のない話でそれなりに盛り上がった後、改めて息子が切り出してきた。

「近いうちに家を出て、彼女と一緒に住もうと思う。
 彼女のご両親からもお許しをもらえたから安心していいよ。」

「はい、ちゃんと許可をもらいました。」と彼女も言う。

・・・そっか、お許しが出たんだね。
でも、ご両親だって「仕方なく」いいよと言ってくださっただけのことで
内心ものすご~く心配で仕方ないに違いない。

ズルズルと何年も同棲生活が続いた挙句、
「やっぱり別れよう。」と捨てられたらどうする?!
その時、娘はいくつになってる?
そこからまた新たな恋愛が出来たとして、またご縁がなかったら・・・?

想像力たくましい私の頭の中は、もう完全に
彼女のご両親が抱いておられるかもしれない不安や心配で
いっぱいになってしまった。

よし!彼女が帰ったら、息子にその辺りの話をしてみよう。
ヤツの本気度合いによっては、同棲に反対しなくては・・・。


「またいつでも遊びに来てね!」
出迎えた時以上の自然な笑顔で彼女を見送ることができた、と思う。

(あなたを泣かせるようなことは、させないからね。)

とりあえず今日は
「コワいお母さんでなくて良かった。」とは思ってもらえたはず。

大・成・功!かな★


~完~


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