夜のピクニック 恩田陸

京都旅行のお供に持っていった「夜のピクニック」先日恩田さんの「蜂蜜と遠雷」を読み、世界感に感動した私は他の本も読みたい!ということで有名どころのこちらの本を手にとった。

この話は歩行祭という80キロの道のりをひたすら歩くなかで登場人物たちが自分と向き合い成長する物語である。

この物語のすごいところは80キロの道のりで特にイベントが起きないところである。仲のいい友達とおしゃべりしながら、景色を見ながら、いろんなことを考えながら、ひたすら歩くのだ。途中で道に迷ったり、大雨が降ったりそういう小説でありがちなイベントがほとんど起こらない。あくまで登場人物たちが考えて、自ら動き出さなければ話は進まないのだ。

恋ではない、友情でもない、でも繋がっている。そんな奇妙な主人公の貴子と融の関係性をはらはらしながら見守り、応援する。

80キロまで歩いてはいないが私も京都では足が棒になるくらい歩いた。自分の環境と物語が少しでもリンクしていると楽しい。

この小説は派手さはないが持って散歩したくなるそういうあたたかさがある。手にとってみてよかった。良い旅のお供としてみなさまもいかがですか?

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