読書メモ: 新1分間マネージャー
新1分間マネージャー 部下を成長させる3つの秘訣
ケン・ブランチャード、スペンサー・ジョンソン 著
金井壽宏 監訳、田辺希久子 訳
2015年 ダイヤモンド社
概要
マネジメント手法について「1分間目標」「1分間称賛」「1分間修正」という、とてもシンプルな方法が紹介されています。
部下が自分自身を管理し、大きな成果を実現することをマネジメントの目的としており、上記の3つの方法により効果的な動機づけが行われることを意図しています。
3つの秘訣
1分間目標、1分間称賛、1分間修正とは以下のようなやり方です。
なぜこの3つが大切なのか
本書の中で、ボーリングの例えが示されていました。
ピンがぼんやりとしか見えず、ボールを投げても音はするが何本倒れたのかはわからない、ゲーム終了後になって「8本も残っていたぞ」と言われる、そんなボーリング。
しかし、職場に置き換えたとき、やるべきことが不明確な上に、やった後で「これじゃない」と言われる、そんなことが起きているのなら、この「つまらないボーリング」は「例え」ではなく「実際のこと」なのです。
つまり、まずは目標が明確であり、上司と部下の間でズレがないことが重要です。これが「1分間目標」を定める理由です。
また、やったことが「良い」のか「悪い」のかを頻繁にフィードバック(=1分間称賛、1分間修正)する必要があります。
特に、初心者や新しいプロジェクトでは称賛を頻繁に行うことが大事です。
このとき”おおむね正しい”なら受け入れ、段階的に要求水準を上げていくことです。
また、ミスがあって「1分間修正」をする際は、批判するのは具体的な行動についてのみ行うのであり、”人間そのもの”に言及することがあってはいけません。
これを通じて、自分の力で仕事を成し遂げたという自信を育み、自分で判断できる能力を育てていきます。
かつては、優秀なマネージャーと、マネージャーに従順な部下というトップダウン型のマネジメントが適していたこともあったでしょうが、複雑で変化の激しい現代においてスピードをもって対応するためには、自律したメンバーが協調していく組織の方が適しています。
感想
「自分がいなくてもチームが回る状況にする」というのが良いマネジメントなのだなということを感じました。
マネジメントが部下へのコントロールになってしまうと、あれこれ口を出すことになることで部下が自分の考えを持たなくなり、モチベーションも下がってしまうというのは、当たり前のことではありますがなかなかできないものです。
その背景には、短期的な成果しかターゲットにできていない状況があるのかもしれません。
育成は時間のかかる投資なので、日々の作業に追われていればつい後回しになってしまうものです。
しかし、それは短期の成果の代わりに、長期の成果を損なっているということを自覚する必要があります。
1分間称賛や1分間修正で小休止があるのは注目に値するところかと。
思考をするためには間(ま)が必要というのは、以下の記事が印象的でした。
あなたの研修・授業・ワークショップには、問いと答えのあいだに「間(MA)」を確保できていますか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12967
仕事を「自分のこと」として受け止めるためには、考えて「腹落ち」することが必要です。
そこにたどり着かないと「上司から言われたことをやる」となり、モチベーションにはつながりません。
マネージャーと部下がともに仕事をしているという実感を、行動をもって作っていく、それがマネージャーにとってとても大切なものだということを感じました。
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