★★★★☆ インセプション(2010年・英米)クリストファー・ノーラン監督・脚本

画像1 https://www.youtube.com/watch?v=GfnyDtiXfns  DVDを購入してから10年ぶりくらいの再鑑賞でしたが、それで改めてこの作品の原案はやはりクリストファー・プリースト「ドリーム・マシン」であると思いました。
画像2 ストーリーは全く異なりますが、逆に細かい設定の部分に原案となった小説と共通する部分があまりにも多いからです。監督・脚本のクリストファー・ノーランは先にクリストファー・プリースト「奇術師」を原作とする映画『プレステージ』を作りました。その彼がこれほど「ドリーム・マシン」と酷似した内容の映画をゼロから創出するわけはないのです。必ずどこかで「ドリーム・マシン」を読んでいたはず。だから、どこにも原作とは書かれていませんが、原案にしたことは恐らく公然の秘密なのでしょう。
画像3 初めて『インセプション』を観た時にも感じたことですが、ラストシーンは主人公のいる世界が夢か現実かをあいまいにするような見せ方で終わっています。そこも小説のラストに良く似ています。また、作戦に入る前の段階で、大勢が同じ夢に接続しているシーンが出て来ます。あれも「ドリーム・マシン」を連想するイメージです。そして映画の中で夢に入り込む装置は「ドリーム・マシン」と言う名称みたいです。
画像4 最初にSF小説「ドリーム・マシン」を読んだのは中学生の頃で、読むのにとても苦労した思い出があります。でもなぜかずっと忘れられず、30年も経ってから本を買い直して再読しました。するとこれが驚くほど面白い小説で、大好きになりました。映画『インセプション』はその何年か後に公開されたのです。この映画で見事にヒロインを演じたエレン・ペイジは、今現在トラスジェンダーとして完全に男性化してしまいました。今の名前はエリオット・ペイジです。
画像5 小説「ドリーム・マシン」あるいは映画『インセプション』の面白さは、夢と現実のどちらが本当に自分の属すべき世界なのかという狂気のような問いかけ。辛い現実を忘れて酒とか麻薬に溺れることと同じです。また、仮想現実というもう一つの世界は、人工的に創られた夢。オンラインゲームに没頭したまま死んでしまった人がいることも頷けます。嫌な現実には戻りたくないから…
画像6 中学生の頃入手した表紙は左、買い直して今持っている本は右です。加藤直之の描いた昔の表紙が大好きで、なぜ手放してしまったのか今でも後悔しています。小説「ドリーム・マシン」は、多人数で一つの夢の世界を共有する実験の話です。実験に参加した中の1人の男性が夢から戻らなくなり、何度も彼を連れ戻そうとして失敗した後、最後に主人公の女性が彼を連れ戻すため、機械と接続します。そして…ミイラ取りがミイラになる話と言えばお分かり頂けるでしょうか。
画像7 クリストファー・プリースト原作、クリストファー・ノーラン監督作品。これは物質転送SFの一つの可能性を示した内容です。物質転送は移動先で同じものを再構成するという考え方を拡大解釈すれば、オリジナルが元の場所に残る…?

<(ↀωↀ)> May the Force be with you.