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老舎 『断魂槍』 (7)

「おみごと!」

 北西のほうから、髭の色褪せた老人が答えた。

「えっ!」

 王三勝は言葉の意味が分からぬようだった。

「おーみーごーと、と言ったんだがね」 

 老人の口ぶりは人を小馬鹿にするようだった。大刀を下に置き、王三勝は皆が顔を向ける北西のほうを見た。誰もこの老人のことなぞ相手にしなかった。小柄の干からびた体に、紺の粗い木綿のちょうをはおり、顔は皺だらけ。眼は深く落ちくぼみ、口のまわりには色褪せた細い髭がまばらに生え、肩にはみすぼらしい枯れ草のような辮髪べんぱつをのせ、それは箸のように細かったが、決して箸のように真っ直ぐではなかった。されど王三勝はこの老いぼれが只者でないことを見抜いた。ひたいは輝き、も輝いていた――がんは落ちくぼみ、眼玉の黒さは二つの小さな井戸のようで、その奥底から黒い光を放っていた。王三勝は怖気おじけづいているわけではなかった。彼は人の腕前を見抜いたうえで、なおかつおのれの実力を信じていた。自分は沙子龍の高弟こうていなのだと。

「ご老人、どうです? こちらへ出てきませんか!」 

 王三勝は改まった口調で言った。

 頷きながら、老人はのこのこと出てきた。周りからどっと笑いが起きた。彼の腕はあまり動かず、左足を前に出すと、右足はそれに引っ張られ、一歩一歩引きずるように進み、多分にぎこちなく、半身不随のように見えた。そうやって中央まで来ると、老人はちょうを地面に投げすて、周りが笑おうが一向に気にしなかった。

神槍しんそう沙子さしりゅうの弟子だと言ったな? よし、お前さんに槍を使わせてやろう。わたしは……」

 老人はさっさと話を進めてしまい、試合を前に腕が鳴るようだった。


〈原文〉

  “有功夫!”西北角上一个黄胡子老头儿答了话。 
  “啊?”王三胜好似没听明白。 
  “我说:你——有——功——夫!”老头子的语气很不得人心。 
  放下大刀,王三胜随着大家的头往西北看。谁也没看重这个老人:小干巴个儿,披着件粗蓝布大衫,脸上窝窝瘪瘪,眼陷进去很深,嘴上几根细黄胡,肩上扛着条小黄草辫子,有筷子那么细,而绝对不象筷子那么直顺。王三胜可是看出这老家伙有功夫,脑门亮,眼睛亮——眼眶虽深,眼珠可黑得象两口小井,深深的闪着黑光。王三胜不怕:他看得出别人有功夫没有,可更相信自己的本事,他是沙子龙手下的大将。 
  “下来玩玩,大叔!”王三胜说得很得体。 
  点点头,老头儿往里走。这一走,四外全笑了。他的胳臂不大动;左脚往前迈,右脚随着拉上来,一步步的往前拉扯,身子整着,象是患过瘫痪病。蹭到场中,把大衫扔在地上,一点没理会四围怎样笑他。 
  “神枪沙子龙的徒弟,你说? 好,让你使枪吧;我呢?”老头子非常的干脆,很象久想动手。 

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