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老舎 『断魂槍』 (9)

 周囲はまたも沸き返った。王三勝は汗にまみれ、もう槍を拾おうとはせず、大きく眼を剥き、その場に突っ立っていた。老人はヌンチャクを投げすてると、ちょうを拾い上げ、やはり足を引きずりながらも、歩くのは速かった。長衣を腕にかけ、彼は王三勝に歩み寄って肩を叩き、「また修行してきな、兄弟!」と言った。

「待て!」

 王三勝は汗を拭きながら言った。

「大したもんだよ、俺の負けだ! どうだい、あんた、先生と手合わせする気はないかい?」

ほかでもない、わたしは彼に会うためにやって来たのだ!」

 老人のがさがさの顔に皺が浮かんだ。どうやら笑っているようだった。

「さあ行こう。それを片づけな。晩飯はわたしがおごるぞ!」

 王三勝おうさんしょうは並べてあった武器をかき集め、手品師の二麻子あばたに預け、老人とともにびょうの外へ向かった。ぞろぞろと後ろからついて来る野次馬を、彼はどなって追い散らした。

「ご老人、お名前は?」

 彼はたずねた。

そんだ」

 老人の言葉はその姿に似て、あっさりしていた。

「武芸が好きでな。前まえから沙子さしりゅうとは手合わせ願いたいと思っていたのだ」

 師匠にかかればお前なぞ! 王三勝は腹の中でそう呟いた。それで彼は自然と足ばやになったのだが、孫老人は後れずについてきた。彼は老人がけんりゅうの歩き方でぴょんぴょん跳ねながら進むのに気づいた。試合となれば、定めしもっと素早いに違いない。だが、いかに素早かろうとも、沙子龍の敵ではない。孫老人が打ちのめされるのは確かで、そう思うと彼は少し気が晴れ、足を緩めた。


〈原文〉

  场外又是一片彩声。王三胜流了汗,不再去拾枪,努着眼,木在那里。老头子扔下家伙,拾起大衫,还是拉拉着腿,可是走得很快了。大衫搭在臂上,他过来拍了王三胜一下: 
  “还得练哪,伙计!” 
  “别走!”王三胜擦着汗:“你不离,姓王的服了! 可有一样,你敢会会沙老师?” 
  “就是为会他才来的!”老头子的干巴脸上皱起点来,似乎是笑呢。“走;收了吧;晚饭我请!” 
  王三胜把兵器拢在一处,寄放在变戏法二麻子那里,陪着老头子往庙外走。后面跟着不少人,他把他们骂散了。 
  “你老贵姓?”他问。 
  “姓孙哪,”老头子的话与人一样,都那么干巴。“爱练;久想会会沙子龙” 
  沙子龙不把你打扁了! 王三胜心里说。他脚底下加了劲,可是没把孙老头落下。他看出来,老头子的腿是老走着查拳门中的连跳步;交起手来,必定很快。但是,无论他怎么快,沙子龙是没对手的。准知道孙老头要吃亏,他心中痛快了些,放慢了些脚步。  

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