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老舎 『断魂槍』 (2)
沙子龍が痩身矮躯で、機敏かつ強靭で、その二つの眼は霜夜にきらめく星のようであることを知らぬ者などいなかった。しかし今、彼の体には肉がついていた。鏢局をたたみ宿屋に替えてから、彼自身は裏庭の北側にある三間を使うようになり、部屋の隅には大きな槍が立てかけられ、庭には鳩が数羽ほど住みついていた。ただ夜になると、中庭の門を鎖し、己の究めたる槍術「五虎断魂槍」を一振り一振り、その体で確かめるのだった。この槍と技は、二十年の間に西北一帯に「神槍―沙子龍」の名を知らしめ、向かうところ敵なしといわれた。今、この槍と技は彼にさらなる栄光を与えはしない。ただこの冷たく、滑らかで、硬い、顫えるような槍身に触れると、彼の胸のうちもいくらか和らいだ。夜なかにこの槍を握るときにのみ、己が「神槍の沙」であることを信じることができた。そして夜が明ければ、もう武芸のこと、過ぎ去りしことは話題にしなかった。彼の世界は、もはや一陣の狂風に吹き飛ばされてしまったのだ。
〈原文〉
谁不晓得沙子龙是短瘦、利落、硬棒,两眼明得象霜夜的大星?可是,现在他身上放了肉。镳局改了客栈,他自己在后小院占着三间北房,大枪立在墙角,院子里有几只楼鸽。只是在夜间,他把小院的门关好,熟习熟习他的“五虎断魂枪”。这条枪与这套枪,二十年的工夫,在西北一带,给他创出来:“神枪沙子龙”五个字,没遇见过敌手。现在,这条枪与这套枪不会再替他增光显胜了;只是摸摸这凉、滑、硬而发颤的杆子,使他心中少难过一些而已。只有在夜间独自拿起枪来,才能相信自己还是“神枪沙”。在白天,他不大谈武艺与往事;他的世界已被狂风吹了走。
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