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【合評会レポート】8/23詩人会議9月号リモート読者会

 詩人会議では、毎月第4金曜の夜、「詩人会議」最新号のリモート合評会を開催しています(詩人会議内では「読者会」といいます)。Zoomを使用したオンライン形式で、掲載されている詩やエッセイについて、参加者で合評を行います。最新号をお持ちの方なら、どなたでも参加できるんですよ♪(参加方法はページの最後へ。)

 この記事では、8月23日に行われた9月号の合評会についてレポートします。


▶合評:野口やよい「黄落」

【作品の概要】参加者の中で一番人気が高かった。青々と茂るイチョウが黄色くなって散っていく様子の中に、自分をゆるす感覚が美しく描写された作品。

芝原靖:
今月号で一番良かった。最初の2行「その秋/ゆるされる夢を見た」だけでも独立した詩になる。じーんと感動する。
 
上手宰:
私もいいと思った。でもタイトルが少し難しい。辞書を引かないとわからない言葉。まぁ、私みたいに知識のない人に合わせてくんなくてもいいけどさ(笑)。ずっと葉っぱのことを書いてきて、この最終連。うまくできている。
 
坂田トヨ子:
私はイチョウが好きだけど、こんなふうにイチョウを見たことがない。どうしたらこんな詩が書けるのだろう。感性の違いを感じる。
 
秋野かよ子:
最初の2行が終盤の「雲の金魚はゆったり泳いで」に繋がっていく感じが素敵。


▶合評:佐藤和英「天使の分け前」

【作品の概要】ウイスキー作りの過程で蒸発して目減りした分を「Angel's Share(天使の分け前)」という。その目減り分にひとの人生を重ねた、ウイスキーの香りが漂うような作品。

上手宰:
いい詩。でも最後が予定調和すぎない?
 
坂田トヨ子:
佐藤さんが書くには早すぎるわね(笑)
 
秋野かよ子:
いいじゃない、詩は自由なんだから。
 
上手宰:
俺も若い頃から年寄りくさいこと書いてたしね(笑)。
 
横山ゆみ:
「少しずつ/天に返しているということ」の部分は「天に」ではなく、もっと身近な人に返すほうがしっくりくるのでは?
 
坂田トヨ子:
そう書くともっと深くなるかも。
 
上手宰:
しかし最後の2行、ちょっと格好つけすぎじゃない(笑)?
 
佐藤和英(作者):
詩で格好つけなくてどこで格好つけるんだ、という気持ちがある。
 
芝原靖:
もっと格好つけて、「これは俺にしか書けない」ということろまで格好つけてみてはどうだろう。


▶合評:床嶋まちこ「ねがい」

【作品の概要】43兆円という巨額の軍事費を、高齢者医療費、介護保険料、消費税の引き下げ、学校給食無償化、学費の減免に回してほしいという切なる「ねがい」が綴られた作品。

坂田トヨ子:
こういうことを言いたい気持ちはよくわかる。これをもう少し「詩」として成立させるためには、どう書くのがよいか。
 
芝原靖:
一連目が面白いから、全体をこのように書くとよいのでは。「腹が立った」「悲しかった」と書いてしまうと逆に伝わらないのと同様に、「~してほしい」では伝わりにくい。
 
上手宰:
お金ってもっとうまく使えるということが、嫌味なく書かれている。もうちょっと工夫してもいいとは思うが。
 
坂田トヨ子:
事実だけ書いた方が良かったかも。葵生川玲さんのベトナム戦争の詩(?)のように。


▶合評:白石小瓶「冬越しの甘夏(2024Jan)」

【作品の概要】私は、隅々まで神経の行き届いた素晴らしい作品だと思いましたが、上手さんはわかりにくかったとおっしゃいました。ぜひ実際にお手に取って、読んでみていただければと思います。

横山ゆみ:
私は今月号でこれが一番よかった。
 
上手宰:
全体的に格好いいけど、今回の白石さんは凝りすぎではと思った。いつも気取っているのをうまく消化する人なのに、ちょっと意味がわかりにくい。例えば「ともしびとせよ/弾丸とせよ」の部分、横山さんは何を「弾丸とせよ」なのだと思いましたか?
 
横山ゆみ:
この詩は、冬越しの甘夏を旬の過ぎた自分に重ねていると読んだ。実の中にいっぱい溜めている熱い想いを弾丸とするのだと思った。


他にもたくさんの作品について、合評がなされました。
▼上記で取り上げた作品の掲載号はこちら。


▶読者会への参加方法

 こんな感じで、毎月楽しくやっています。上手宰さん、芝原靖さん、坂田トヨ子さん、秋野かよ子さんは、高確率で参加なさいます。北島理恵子さん、野口やよいさん、横山ゆみも、わりとよく参加します。
 その号の執筆者が参加すると、その方の作品から優先的に合評します。もちろん、読者投稿欄「自由のひろば」に掲載された方も大歓迎です。いろいろな方の感想を聞くと、本当に勉強になりますよ!

 参加ご希望の方は、詩人会議ホームページに記載のメールアドレスよりお申し込みください。読者会のメーリングリストに入れてもらえますので、そこで知らされるZoomのミーティングIDより入室してください。次の回からは、特に出欠の連絡は必要ありません。ぜひご一緒に、合評を楽しみましょう♪

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