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富士フイルムのプチ炎上を考えてみた

先ごろ富士フイルムホールディングスの2024年3月期決算説明会が行われ、その質疑応答の中でイメージング事業への社長答弁がプチ?炎上しました。SNS上で目にされて反応された方も多いと思います。
この件について考えてみました。

詳細は以下のサイト
https://digicame-info.com/2024/05/post-1736.html


炎上ポイントは次の三点
①作りすぎて値段を下げるのはもったいない
②富士フイルム(のカメラ)はライカ(並みの価値)を目指す
③(カメラの)在庫状況は平常である

 ()は私の補足です。

思うに()無しでの反応が多いように感じました。市場在庫は現状パッと見で小売店での在庫状況通りかと思いますが、私が感じたことは、どの点も問題ある発言とは思えない、ということです。

【決算説明会とは】

ぐぐいと調べてみると、
企業(主に上場企業)が自社の経営状況を機関投資家・アナリスト・報道関係者に対して決算状況の説明を行う場であり、株主総会とは別とのことでした(これ私も勘違いしてました)。資料では質問者は証券会社の方ですね。

あくまで証券会社からの質問に答えた内容であり、コンシューマー(一般ユーザー)に対しての発言ではありません。当然ユーザー軽視でもないでしょう。SNSではここの所を勘違いしてユーザー軽視だとか、もうフジユーザー辞めるわとかなってましたね。ただ「カメラの売り方を根本的に変えていく」「在庫状況は平常」、その前段で「作りすぎて値段を下げるのはもったいない」との発言から、供給を絞って高価格を維持するのかと受け取った人が多く、余計にヒートアップしたのではないでしょうか。

企業は営利を追求するのがの目的ですから価格を下げたくないのは当たり前。ましてや原材料や部品調達コストも日に日に上昇する昨今です。ちょっとばかり三菱マテリアルの決算説明会資料をみても、冒頭では銅価格上昇とか原材料コスト高とか言っています。その他数字のことは分かりませんが金属屋(超ざっくりな言い方)ですらそうですから、フジも例外ではありません。

【ライカの例え話】

社長発言にあるような「○○を目指す云々」という例えは、内輪ではよくある話です。私もメーカー勤務時代は方針説明会と銘打った、自社の社長や本社事業部長などからの景気のいい話は耳にタコ焼きでしたし、そんなこと言って失敗した事業の責任はどうなったんでしょうね。裏金問題を有耶無耶にしつつある某政党と同じ匂いが漂ってきました。
フジは企業として足元の状況がいいので社長もそりゃあ浮かれます。浮かれますが、フジはライカになろうとしているのではなく、(ライカのカメラのような)高い価値ある製品作りを実現したいということでしょ。長く使えて中古市場でも値下がりしにくい製品、もし実現できたらユーザーにとっては資産価値向上になるので良いことではないでしょうか。

万が一「ライカのようなブランドになる」だとすると、なれたとしても100年とかかかりそうですし、そんな評価は後代の人々によってなされるもの。

私たちにとっては「持っててよかったフジのカメラ」位が丁度いいかもしれませんね。

そんでもって価値向上はサービス・サポートと一体だと思うので、今後どのような体制が敷かれるかで明らかになるのではと思っています。ライカのHPを見るとフィルムカメラでは一年近くかかるけど修理可能です。しかし現在フジのカメラは古い機種から順当に修理対応不可になっています。私のX-T2も1・2年後には・・・。

デジタルでそれが可能なのか疑問ですが、日本メーカーはちょっと合理的すぎるように感じます。個人的には古い機種でも今以上の期限で修理可能にして欲しい。こういった点を実現するのか、まったく別のサポート体制をもってくるか気になります。


【在庫状況】

冒頭のリンク先の質疑応答ではカットされている発言があります。

積極的な計画をと⾔われていますが、他のアナリストさんからはちょっと物⾜りないんじゃないのというような意⾒も前回中期の時ございました。

富士フイルムホールディングス 2024年3月期 決算説明会資料

この部分はリンク先の「通年でこれだけの成績をあげることができました」の後に続く発言です。「物足りないんじゃないのというような意見」とはカメラもっと造らないの?ってことなのかと。売れてんだし受注ストップしたら機会損失じゃないの?的な。

キヤノンが引き合いにだされているので資料を見ました。キヤノンは市中在庫の調整を行った結果、業績の落ち込みがあった様子。一時的とはいえキヤノンより事業資金的には劣ってそうなフジは増産には一層慎重になるでしょう。

増産するには単純に考えて生産ラインを増やすことになります。一から造れば数億〜数十億とかかかるでしょうし、既存ラインを変更しても多額の投資になります。フジ側はそこまでする必要はないとの判断でしょ。ライン増やしたとたん「カメラの人気無くなった」では済まされません。経営としては間違ってないと思います。


私がX-M1を購入した2014年時点ではフジのカメラは大したことない感じでした。Xシリーズが急に人気になりだしたのはここ2年位じゃないですかね。現在は転売ヤーの格好の餌食になっている状態。増産して市場にガバガバ流せば我々は入手しやすくなりますが、溢れすぎれば値崩れを起こすのイタチごっこ。転売ヤーも節操ないなと思いますが、経済活動の一手法でもあります。気にしすぎないほうが良いのではないでしょうか。プレミア価格でも欲しい人は買えばいいだけ。普通に注文すれば時間かかるけど確実に入手できるわけで、短気は損気、可愛さ余って憎さ百倍とならないようにしたいものです。

この点メーカーサイドからのアナウンスが一切なく、もう少しユーザー目線フレンドリーな対応をフジにはお願いしたい。よくいますよね、売ってしまったら後は知らんみたいな人や会社。フジは以前にストリートスナップ動画で炎上した時は、さっさと動画削除して幕引き、しらんぷりした前科があるので実はフジって意外と冷淡というか非を認めない風土というか、があるのかもしれませんね。知らんけど。


とまあ私見を述べてみました。
次のT6はどうなりますか。マウント変更が脳内にチラついているため、今は画像リークした LUMIX S9 が気になっています。