ムギと王さま
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ファージョン作
石井桃子訳
岩波書店
※少しネタバレあります。
子どものころ、図書館が大好きだった。
将来は司書になろうと思っていたが、いろいろあって挫折。
大人になったある日、昔の荷物を整理していたら、高校の図書館の貸出カードが出てきた。
もちろん手書きである。
(すごくアナログ。今の学校図書館はどう管理しているのだろう?)
借りた本の中で、「ムギと王さま」というタイトルにだけ何故かすごくひっかかりを覚えたが、もちろん内容は覚えていない。
しばらく悩んだ後、思いきって買ってみた。
ファージョンという童話作家の短編集で、私のひっかかりは表題作ではなく、「西ノ森」という作品だった。
ある国の若い王さまが、結婚する必要に迫られ、あちこちの姫に求婚しに行く、というお話。
王さまにはシライナという小間使いがいるが、ツンデレのツンだけの小生意気さだ。
嫁探しの際も、手助けをしているような邪魔をしているような…なかなか良い姫に巡り会えない王さまは、焦りもあり、シライナにイライラしっぱなしである。
プロポーズ用?にしたためた詩も、ムシャクシャして、まるめて捨ててしまった。
果たして王さまは無事結婚できるのか?
こういう話が心に刻まれているということは、私の中に「いつか王子様が迎えに来てくれて、幸せな結婚をするんだ」という乙女チックな気持ちが3%くらいあるのかもしれない。
結末では王さまは幸せな結婚ができるが、私のほうは真逆だ。
自分の歩んできた人生を悲しんではいないけれど、人は選ばなかったほうの道をどうしても考えてしまうものだ。そっちのほうが困難な道だったとしても。比べようはないのだが。
既婚でも、独身でも、自分が選んだ生き方で幸せになろうと前向きでいられれば良いんじゃないか。
あとは、このお話で、「自分の作った作品は大事に扱え」という気付きを得た。
私もまるめて捨てるタイプなので。
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