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ワンカット撮影の宿敵「光量差」/DJI GoggleのアナログMOD/Cercleの気球DJ/ロングレンジCrossfire/飛行時間を伸ばしたい/TENET/横田 淳『週刊ドローンリアルビュー』 Vol.20

今日は長野に向かうマイクロバスで書いています。

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久しぶりに大阪へ入ったあとは京都に移動し京都の街を散策、KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)にも行ってきました。4月ごろに比べだいぶ人手も戻ってきていて徐々に元気を取り戻しつつあるなと思います。そして、その後横浜に戻ったのですが、シルバーウィークの中日はとにかく人に溢れどこもお店は混んでいるようでした。山下公園の気持ちよい外の芝生の上でさえも大量の人で、とはいえ面白かったのが芝生の上でマスクをつけて寝転んでいる人が大半という異様な光景です。室内の密閉された居酒屋ではほとんどの人がマスクをとって大きな声で話すのに実に不思議です。

久しぶりに関西に入ってみて今年行っていない都道府県はどこだろうかと整理すると、「北海道・秋田・岩手・宮城・山形」の5つとなりました。これらは今春の桜を撮ることができなかった地域です。南から始まった桜前線に対して、紅葉は北から始まります。紅葉ドローン撮影ではこれらの地域を優先して伺いたいなと考えています。桜よりも開花タイミングにゆとりあるのでゆっくり温泉に浸かりながら撮影したいです。

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さて今週は少しテクニカルな撮影に関する内容が少し多くなっています。FPVドローンという臨場感の出る画はTVCMや映画などにも使われ始めていますが、今回はGoProを活用したマイクロドローン撮影における課題にフォーカスしています。

新しいGoPro HERO9も登場しました。HERO8に比べセンサーサイズが大きくなったためサイズも一回り大きくなっており当然ながら重量が増えています。ドローンに搭載することももちろんできますが軽ければ軽いほどよいです。早速GoPro HERO9を分解して軽量化する仲間も出てきております。敬意を表して私も続いていきます!

〜今週のとんかつ:とんかつ大喜(大阪)

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今回は写真が美味しそうだったのでヒレをチョイス。想像以上の美味しさでした。上品なヒレです。2種タレ・お塩でいただきます。食べた後に「あぁ、ここなら上ロースにしておけば…」と思わせるお店です。ランチ閉店間際だったので余裕では入れました。

それでは今週のメルマガです。

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                         2020/9/23
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横田 淳『週刊ドローンリアルビュー』 Vol.20


毎週水曜日発行
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今週の目次─────────────────────────────

1.今週のトピック
2.横田のドローンガジェットレビュー
3.世界のおすすめ動画解説
4.連載:ドローンのつくり方講座
5.Q&A(何でも質問回答)

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1.今週のトピック

日本中・世界中でドローンを持ってコンテンツ企画、イベント運営、撮影している著者が毎週違ったトピックで旬な話題を提供します。

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『ワンカット撮影における一番の敵「光量差」』

小型軽量なFPVマイクロドローン撮影の大きな特長は「連続性」です。
撮影手法に言い換えるなら「ワンカット撮影」です。人間の動きよりも早く、滑らかに、どんな所でも通過できるFPVドローンは1回のカットで多くの表現をすることができます。

ワンカット撮影が手軽にできるのは大きな魅力ですが、ワンカットで撮影するからこそ通常のカメラよりも「光の変化」に注意しないと最終的な画が悲惨なことになってしまいます。実際の課題と合わせて見てみましょう。


■前提
屋内中心のマイクロドローン撮影の場合は、予めGoProを持ってモニターを確認しながら飛行ルートを事前確認して設定値を決めます。今回は屋内でのFPVマイクロドローン撮影を以下設定をデフォルトとして考えます。

GoPro HERO6, 2.7K 4:3, 60fps, ビデオ安定化off,
ISO 100-100, SS Auto, WB 4500,
カラー:フラット, シャープ中, 画質:高

※FPVで使うGoProのおすすめセッティングは過去メルマガVol.2で紹介
https://note.com/yokota_a24/n/n58b2d61d99bf

■ケース1:場所ごとに光の量が違う
(EX.屋外から窓の中に入り込みそのまま家の中を動き回り撮影する場合)

日中の晴れ間の場合、屋外のほうが相対的に明るくなります。部屋の電気をつけたからといって、太陽光がガンガンに射しているのに比べれば部屋は全然暗いです。暗いといっても照明付近はもちろん明るく照明から遠ざかれば遠ざかるほど暗くなります。撮影のカット上、どうしても屋外から屋内にワンカットで撮影する場合は、この明暗差を可能な限り少なくするために、環境の工夫やカメラ側の機能で対処する必要があります。そしてカメラ設定に頼りすぎず環境面を調整することで解決できることを探すのも重要だと思います。

・太陽の位置=時間を調整する

太陽の位置によっては影になったりして撮影する場所の取り込まれる光の量に変化があります。例えば午前中なら木の陰になるのでNDをつけないでもジェロが生じにくいなど。サン・サーベイヤーなどのアプリで太陽位置の確認などして撮影日時を調整するのが第一段階ですね。

・室内の照明を増やす
相対的に部屋の中が暗いなら照明を増やせばいいということですね。ただどういう照明なのか相性を含めて事前に確認する必要がでてきます。ちなみに、一度ドローン側に簡易照明をつけて照らせば暗い場所でもいい感じに撮影できるのでは?と考えてやってみましたが、近距離が強く照射されすぎて画が怖くなってしまう(暗視カメラみたいな感じ)ので諦めました。そりゃそうですよね…。

・カメラのシャッタースピードAuto
上記のような環境面の調整がこれ以上難しいならカメラの設定などで調整します。この明暗差をGoProの場合はISOやシャッタースピード(以下SS)で対処したいです。SSをAutoにすることで、

・明るいところでは「早いSS」Ex. 1/720
・暗いところでは「遅いSS」 Ex. 1/60

のように場所に応じてシャッター速度を変動させ、光を取り込む量も調整してくれます。しかし問題は早すぎるシャッタースピードにすることで、細かい振動(界隈ではジェロと言われることが多い)を拾ってしまうことになります。この細かい振動はモニター確認などしないと見つけづらいこともあるので注意が必要です。

対策としてはジェロが発生しないくらいのシャッター速度に抑え込めるようにNDフィルターを使うことで減光するという対処です。これで屋外の光量が多すぎるシーンの解決はしましたがトレードオフとして、室内の光量が少ない場所において暗すぎてしまいます。サングラスをつけて室内で生活するのが難しいのと一緒です。

・ISOの最大値を上げる

ここでジェロを抑え込みながら室内を少し明るく見せるならISO感度の最大値設定のみ200や400にあげます。明るい時は最小値のISO 100を自動で利用してくれます。しかしこれは画質とのトレードオフなのでなるべくならやりたくないところ。GoProのような小さいカメラセンサーの場合、ノイズも目立ちやすいためです。屋外のジェロを気にしないでいいならNDをとっぱらった上で室内は撮影したいところです。

・飛行のスピードを調整する

ドローンレースで使うような時速100km超えの機体の場合、スピードが早すぎるために、シャッタースピードのAuto設定が遅れて変動することが多いです。つまり明暗のムラが顕著になり、見ていて気持ち悪い画になってしまいます(屋外の場合は基本はシャッターとWBは固定にしておきたい)

室内用のスピードが比較的に遅いマイクロドローンだとしても同じことが起きていると考えたほうがよくて、事実スピーディに窓を通り抜けたりするとガクッと明暗差が出てしまうことがあります。徐々にならすためにも光量の変化が大きいシーンはじっくり移動させるなど工夫することでより調整できるところもあります。

■ケース2:場所ごとに光の色が違う
(EX.廊下は白い光だが、部屋に入ると赤い光に、窓から出ると青い光)

日中の屋外は相対的に青くなるので色温度が低い状態です。部屋の中は青い照明というよりも赤みがかった照明であることが多く色温度が高い状態です。WBをAutoにすることでこういった色温度の変化に対処してくれるのですが、GoProなどのアクションカムにおけるWBのAuto設定は「変化がわかりやすい」のが問題です。ゆっくりしたマイクロドローンでも変化が顕著にわかってしまい後で修正するのも困難になります。

そのため、マイクロドローンで撮影する時はかならず標準となるWBを事前に決定したうえで撮影します。つまり後編集で調整する他ないということです。Davinci Resolveなどの編集ソフトであればキーフレームを使ってタイミングにあわせてカラグレできるので、ワンカットの場合はこの問題は割り切って撮影しています。

外に合わせるのか中に合わせるのかはその時の判断だと思いますが、後で編集するときのことを考えると個人的には屋外の色温度の調整のほうがやりやすい(屋内のほうが色変化や明暗が激しい)ケースが多いので屋内の重要部分でWBを設定固定することが多いです。

■ケース3:場所ごとに光の種類が違う
(EX.入り口は問題ないが奥に見える蛍光灯がちらついている)

LEDと水銀燈、蛍光灯、白熱電球など、照明の種類によって色や光量だけでななく、光の出し方も異なります。LEDや蛍光灯は細かく点滅させて照射しているので、カメラの設定によってはフリッカー(ちらつき)が出てしまいます。

フリッカーに関連して、電気の周波数は西日本では60Hz、東日本では50Hzです。(東日本でも60Hzで動作していることはあるので、あくまでこの2つの電気の周波数があるというのを理解すればよいかと。)

撮影するときのフレームレートやシャッタースピードとこの点滅の間隔がうまく同期できていないとフリッカーを生んでしまうのでそこを設定で対処する必要があります。

一番簡易的な対処であれば、カメラの周波数設定を変えます。50Hz⇔60Hzに。またカメラのフレームレートが高いとフリッカーも生じやすくなるのでなるべく低めに設定するのもひとつです。24fps,30fpsなど。低いフレームレートにすればするほど光も多く取り込めますしね。

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もちろんこれらは後で編集をする際に個別に調整することができます。フリッカーも照明ごとの強弱も、シーンごとの明暗差も。しかし撮影時に課題を解消しておきポストプロダクションをやりやすくするというのは基本ですね。

でもこうやってカメラを状況に合わせて色々対処しないといけないことを考えるといかに人間の目が最高のAuto機能をもったレンズとセンサーなのかがわかります。ちらつきも明暗差も自然に解決してくれる「目」。どんどんカメラは人間の目に近づくんですかね。

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2.横田のドローンガジェットレビュー

毎月のように新しいドローンが中国を中心に世界で開発販売されています。
横田が実際に使っているものを中心にレビュー・解説していきます。

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『DIGIDAPTER:DJI GoggleのアナログMOD用パーツ』
https://bit.ly/302FK6C

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