「定義する」組織学
結局のところ、良い組織をつくるには「働き方」を定義することが重要だということが、自分たちの実践やソニー研究などで明らかになってきました。でも、これはルールじゃないんです。
就業規則では、働き方は定義できない
働き方の定義と似て非なるものがありまして、それが「ルール」です。例えばそれは労基法だったり、就業規則だったりするわけですが、これは定義とはちょっと違うんです。法律・ルールなので、これは規則。守るべきもの。
例えば、働く時間だったり、給料だったり、解雇のことだったり。こういった規則みたいなものは、就業規則で決められます。服務規律とかもそう。
例えば定義した方が良いのはこんな感じ。こういう場合にどういう判断をするか、ということです。
18:00が定時の終業時間。現在時刻は17:00。どう考えても今日中に終わりそうな仕事量ではない。このとき、どんな判断が考えられるか?
1.残業をして、何時になってもその日中に終わらせる
2.みんなに手伝ってもらい、定時に終わらせる
3.誰かに手伝ってもらい、少しの残業で仕事を終わらせる
4.今日は諦め、明日に持ち越す
…さあ、あなたの判断は?
どれが正解、不正解というのはありません。残業そのものは悪でもないし、労基法をきちんと守っていれば、残業そのものは何の問題もありません。
ポイントは、「会社として、どれを推奨しているのか」です。
すれ違う会社と社員
例えば、こういうことが起こります。ある社員は上記のケースで、なんとか頑張って今日中に仕事を終えよう!会社のために頑張ろう!と終電ギリギリまで仕事を続け、なんとか仕事を終わらせます。やった。これだけの頑張りは、きっと会社にも認めてもらえる!眠いけれど達成感もあり、いつか給料が上がるかも!なんて淡い期待も。
ところ、翌日の上司は険しい顔をしています。「なぜ、こんな遅くまで残ったんだ!無駄な残業はするなとあれほど言っただろう!こんな言うことが守れないようじゃ、昇給なんてまだまだだな…」みたいなことを言う。
会社のためにプライベートの時間を削ってまで仕事をしたのに。眠い中頑張ったのに。なんて報われないでしょう。でも、上司もただ言うことを聞かないから怒ったわけではないのです。
「仕事だけではなく、プライベートの時間も大切にしてほしい。身体も大切にしてほしいし、仕事人間になってほしくない。それに、そこまで急ぎの仕事でないなら、翌日に回したっていいのに…」
こんな思いやりのある上司だったりするわけです。つまり、「良かれ」と「良かれ」がぶつかってしまい、結果としてその想いはすれ違ってしまっているんですね。
これが定義のない会社です。
働く時間を定義する
もう一度、先程のケースを見てみましょう。
18:00が定時の終業時間。現在時刻は17:00。どう考えても今日中に終わりそうな仕事量ではない。このとき、どんな判断が考えられるか?
1.残業をして、何時になってもその日中に終わらせる
2.みんなに手伝ってもらい、定時に終わらせる
3.誰かに手伝ってもらい、少しの残業で仕事を終わらせる
4.今日は諦め、明日に持ち越す
…さあ、あなたの判断は?
どれも正解なんです。重要なのは、会社としてどれを推奨しているか。そして、それをどれだけ社員に浸透させているか。これが最重要ポイントになります。
例えば、パワーコンテンツジャパン株式会社の場合は、入社時にこの時間の定義についてはすべて伝えています。うちは残業をしない勤務方針です。だから、うちの会社の場合は「4」が正解になります。
これは私の方針で、1日が24時間。睡眠時間を8時間として、残り16時間。そこから8時間以上奪ったら、仕事人間というか人生の半分以上をパワーコンテンツジャパン株式会社で過ごしたことになってしまいます(本当は休日があるから半分にはならないのですが、肌感覚として)。
自分の人生をちゃんと大事にしてほしい。それが私の考えで、だからこそ1日8時間以上はもらわない。勤務時間もパワーコンテンツジャパン株式会社は、正社員でも7.5時間が勤務時間です。普通より短い。これは、意地でも半分はもらわないという私の方針がかたちになったものです。
社員の時間は「借りている」という感覚。これが私の感覚なので、それ以上は絶対にもらわない。短時間で結果を出す組織にしたい。これがパワーコンテンツジャパン株式会社の時間の定義となります。
こうした定義をすることで、先のケースのような状況になったとき、間違った判断をしたり、「良かれ」がすれ違うことのないようにしているわけです。
最近社内ではこれらを「定義する組織学」としてまとめようかと思ってますが、この定義の仕方についてはまたどこかで。
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今後も私たちのホラクラシー的組織論の記事は執筆していきますが、その全容が待てないという人は、こちらの講座をご覧ください。パワーコンテンツジャパン株式会社の組織論のすべてが詰まってますので。
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