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アメリカの繁栄から取り残された白人たち

年末進行の風が吹き始めた。

年末年始に印刷所を始め、関係各所ももちろん休みに入るため、かなり前倒しで進行しなくてはならない。月刊誌で言えば、2ヶ月で3冊つくるくらいのペース、つまり1.5倍くらいの仕事量となる(個人的な体感です)。

引越しの準備を始めたせいもあり、毎日がクルクルとすぎていく。やるべきことをくずしているだけで、前に進んでいる感覚がまるでない。目の前のことに追われると、先のことが見えなくなってくる。視野もどんどん狭くなってくる。

そんな時にポーンとメッセージをくれるニューヨーク在住の知人のラインが有り難い。

「コロナは再度、猛威をふるい始めているが、選挙後は心なしか街にも人が戻り、若干の落ち着きを取り戻し始めている」という近況から始まり、途中、日本でのアメリカ大統領選挙報道の話題となり、「アメリカは良い国ではないということを、アメリカ人自身も気づいた4年間だった」というチャットで落ち着いた。

エイミー・アダムス主演の『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』が11月24日にNetflixで配信されることも教えてもらった。

「Hillbilly」という英語を、一番愛らしく訳してみるなら、僕ならば「田舎っぺ」とする。悪しざまに言うとしたら「どん百姓」か。
「悪いヒルビリー」は、ときに、さらにもっと明確にひどい蔑称を得ることになる。それが「ホワイト・トラッシュ(White Trash)」だ。
リーマン・ショック後、いつになっても根本的な治癒が始まらないアメリカ経済に嫌気が差せば差すほど、「成功者と非成功者」とのあいだの格差が開いていけばいくほど、この「トラッシュ・ブーム」は加速していった、ように僕の目には見えていた。

知人は、「最近、ホワイトトラッシュを題材にした書籍や映像作品が一段と目立ってきている」という。

トランプが当選した2016年。その後、日本では2017年に『ヒルビリー・エレジー』という一冊が発売された。

そこから三年。「遂に、この世界観がアメリカのスタンダードになってきたんだなぁ」と思う。とかくニューヨークやシリコンバレーがアメリカなのだと思い込んでしまいがちだけれど、スタンダードの軸は明らかにヒルビリー側にズレている。

目の前の作業に忙殺されているうちに、世界はどんどん動いている。



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