見出し画像

石は転がり続けた方が恰好いい!

英語のことわざ「A rolling stone gathers no moss(転がる石には苔が生えぬ)」の解釈について教えてくれた先生がいた。たしか中学校の英語の先生だったと思う。

この言葉は人により捉え方が異なり、「転がっていないと苔が生えちゃうぜ」的な捉え方をする人もいれば、「辛抱強くいないと大成しないよ/信用できないよ」と捉える人もいる、と。『君が代』で考えると、日本人は後者と捉えやすい国民性かもしれないね、と。

ボブ・ディランの『Like a Rolling Stone』も引き合いに出していた記憶もあるが、ディテールは覚えていない。

8年振りの新曲『Living In A Ghost Town』

先日のレディ・ガガが音頭をとったオンラインのチャリティコンサート「ONE WORLD TOGETHER AT HOME」で、ストーンズの出演は急遽決まった。

いわゆる大物シークレットゲスト的な扱いなのかと思っていたが、どうやら違うのかも⁉︎  そう思ったのはストーンズは昨日、8年振りに新曲『Living In A Ghost Town』を発表したから。急遽リリースを決めたという、彼らなりの“今”歌わねばいけないという気持ちを詰め込んだ一曲。この曲のリモート作業中に、「あのガガのやつ、出ようぜ」とノリで出演を決めたに違いない。コンディションも良かったのだろうが、自分たちにとっての音楽の持つ意味みたいなものをそれぞれが感じていたに違いない。絶対にそうだ。勝手に4人のやりとりを想像してニンマリしてしまう。

「ロックダウンの前に、ストーンズはスタジオで新曲をレコーディングしていた。その中に、いま現在の状況に共鳴するような曲があったんだ。だから、それぞれが個別に作業してこの曲を仕上げた。その曲がこの“Living In A Ghost Town”だ。気に入ってもらえると嬉しいよ」(ミック・ジャガー)
「長い話を短く説明しよう。この曲は1年以上前にLAでレコーディングしていた。以前から作業しているニュー・アルバムに入る予定の曲だった。そしてこの事態になって、ミックと、あの曲を早急に仕上げて出そうということになった。そういうことで“Living In A Ghost Town”をリリースすることになった。みんな、気をつけてくれよ!」(キース・リチャーズ)
「この数週間、多くの人たちからメッセージをもらっている。本当にありがとう。君たちが音楽を楽しんでくれているということは、俺たちにとって、すごく大事なことなんだ。今日は皆に新曲を届けるよ。楽しんでもらえるといいな。頭に残る特徴的なメロディの“Living In A Ghost Town”だ」(ロニー・ウッド)
「この曲を仕上げるのは楽しかった。現状を表わしていると思うし、聴く人もそう感じてくれるといいなと思っている」(チャーリー・ワッツ)


いざ、カナダ公演へ

そもそも私がストーンズにハマったのは完全に夫の影響。彼は日本公演があれば全国をめぐり、全公演を観ようとし、おそろしい数のグッズを所有している……。当初はどん引きしていたのだが、いつしか街でTシャツを見つければ買って帰るくらいにまでなってしまった。

画像1

年始にバンクーバーに住んでいる友達から、写真が送られてきた。一言、「今日の新聞。きちゃえば?」。

それを見た瞬間ビビッと来て、「5月12日にバンクーバーのスタジアムBC PLACEヘ行こう!」と私は一気に盛り上がった。夫は、その瞬発力に驚きながらも、喜んでいた。「ストーンズはもう日本には来ることはないかもしれない」という話をことあるごとにしていたので、私は「遂に天命がくだった」と思った。やたらと大袈裟に感じた自分のノリを結構気に入っていた。

「チケットとるよ」と言ってくれた現地の友人と席のやりとり。海外のチケットは日本にくらべて高い(逆を言えば、日本のチケットは安い。日本の物価がグローバルスタンダードから乖離し始めていたのをここ数年は感じていた)。夜通し、値段と席位置とお土産の有無とのバランスを考えた。

そして、チケットを購入。友人とはカナダでしたいこと、行きたい場所をラリーした。

画像2

石は転がり続けた方がいい

結論から言えば、もちろん公演は延期。「行こう!」と決めてワクワクしていた自分も、席選びを思案していた自分も、ほんの3ヶ月前の話なのだが、今では本当に懐かしい。2.3年前くらいに感じてしまうのは何故だろう?

数日前の生配信で4人の元気なロック爺ぶりを拝み、はにかんだチャーリーのエアドラムを見ただけで、「海外遠征できなかった自分の無念さは消し飛んだ!」というのは言い過ぎだが、ひとつの区切りとして、私の中では小さな大団円を迎えた……はずだった。そこに、まさかの新曲発表。

今この瞬間に投下された8年振りの新曲のタイトルは『Living In A Ghost Town』。歌詞の中には「ロックダウン」という言葉も入っている。1年前にはあった曲で、歌詞はもちろんこの状況に合わせて調整をしたらしい。

ミュージックビデオにうつる世界中(日本も!)のゴーストタウン。そこを軽快に転がる4人の音と声!

もう、最高じゃないですか! 

やっぱり「石は転がり続けた方が恰好いい」。私は断然そっち派だ。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?