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年齢を重ねると幸せになる理由

「100年時代と聞くと、希望より絶望しかない」と20代の若者は言った。「寿命が伸びても、結局、年寄りとして生きる時間が長くなるってことじゃないですか」とも。健康面や金銭面など、先を見つめれば、たしかに不安なことしかない。その時は「そうだね〜」と言いながら、お茶を濁してしまったが、「そうでもないよ」という答えを若者に返してあげたい気持ちにもなった。

「老年的超越」という概念と出合った。

話は最初から少し逸れるが、肌にできるシミは正式には「老人性色素斑」という名前だと知った時、「身もフタもないな(苦笑)」と思ったことを思い出した。こちらももう少しポップなネーミングがあったら、ポップに皆に概念が伝播する気もする。

老年的超越(gerotranscendence)とは、高齢期に高まるとされる「物質主義的で合理的な世界観から、宇宙的、超越的、非合理的な世界観への変化」を指す。

この概念の提唱者であるスウェーデンの社会学者であるトーンスタムが、離脱理論,精神分析理論,禅の知見などを取り入れ、この理論を構築したとされている。

老年的超越を構成する主な因子例。私は、「なるほど」と思うことが多かった。

①「ありがたさ」「おかげ」の認識

他者により支えられていることを認識し、他者への感謝の念が強まる。

②内向性

ひとりでいることのよい面を認識する。孤独を感じにくい。肯定的態度でいられる。

③二元論からの脱却

善悪、静止、現在過去という対立的な概念の境界が曖昧になる。

④社会的自己からの脱却

見栄や自己主張、自己のこだわりなど社会に向けての自己主張が低下する。

などなど。

もちろん、私がこれを既にできているわけではない。ただ、40代の半ばを過ぎた私は、「ここを目指していきたいものだ」と極めてハッキリと思うようにはなってきた。少なくとも、20代の若者の気持ちを暗澹とさせないようにいたいものだ、と思うのだ。



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