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「自分の意見は、本当に自分のもの?」を問う映画『i 新聞記者ドキュメント』

他者との関係を築く時、邪魔をする「関係性の4毒素」というものがあるらしい(出典:中土井僚著『U理論入門』)。

関係性の4毒素 ①非難:相手を追いつめ、相手の能力や人格を否定する。他者の言動。②侮辱・見下し:相手をダメな人と決めつけ断罪し、切り捨てる。③自己弁護・防御:自己正当化と自己犠牲感。④逃避:コミュニケーションを避ける。当たり障りない言動に終始する。意図的に相手を避ける。関係を絶つ……など。

森達也監督の最新作『i-新聞記者ドキュメント-』を観た。オウム事件についてテレビ局と反対の教団側からカメラを回した映画『A』や、世間から袋叩きになっていた人物に密着した『FAKE』などのドキュメンタリー作品で知られる。東京新聞の望月衣塑子記者をイメージしヒットした『新聞記者』は序章だったと謳う、望月記者自身を追った作品だ。


望月記者は記者クラブで菅官房長官との定例会見のやりとりで一躍有名になった。賞讃と同時に、同じくらいの非難も浴びる彼女。

右か左か。リベラルか保守か。善か悪か。賛成か反対か……森監督は劇中で「自分はリベラルだ」と主張しつつ、すべてが二項対立の構造になり、分断を深める社会に警鐘を鳴らす。

脳は自分の理解の域を超えると、単純化し、自分が信じたいように物事を信じる性質があると聞いたことがある。映画のタイトル中の「i」が示しているように、「○○がそう言っているから」と空気を読むのではなく、「果たして自分はどう考えるのか」と、一人称単数(個)であることの意味をこの映画は問うてくる。

とりわけ、自分とは考えの違う他者とのコミュニケーションをとる際、前出した関係性の4毒素を思い出したい。自分はその時、何をどう考えるのか、都度、きちんと考えていければと思う。





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