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夏の名残りを歌にして!

曲をつくること、特にポップスを生業にしている方に、声を大にして言いたい。お盆から台風がくる、この時期の感傷を歌にできるか否かが名曲が生まれるか否かの鍵なのではないか、ということを。


これまでのライジングサンロックフェスティバルを振り返る配信を観た。ミッシェルの映像で涙腺がグズグズになったことは昨日書いた通りなのだが、実際の私のライジングサンでの一番の思い出は、2010年の山下達郎である。初めて「北海道に行くぞ!」と意を決して飛行機とライブのチケットをとったのは、「山下達郎が初めてフェスに出るところをこの目で拝みたかったから」に他ならない。

そして、タイムテーブルが発表された。彼の登場は、夕刻。マジックアワー。「これは、これは、間違いなく、あの曲をやる!」と勝手に盛り上がり、当日を迎えたのだった。

当日のセットリストは以下の通り。

1.Loveland, Island(サビのみ) 2.SPARKLE 3.DAY DREAM 4.DONUT SONG 5.僕らの夏の夢 6.WINDY LADY 7.砂の女 8.BOMBER 9.アトムの子(guest:竹内まりや) 10.RIDE ON TIME(guest:竹内まりや) 11.Loveland, Island(guest:竹内まりや)12.さよなら夏の日

そうです。あの曲とは、

さよなら夏の日!!

「一番素敵な季節がもうすぐ終わる」と達郎が歌うように、湿気も暑さも大嫌いな私なのだが、この夏の終わりのセンチメンタルな気持ちは嫌いでなかったりする。野外で、夕景の中、達郎の生声で、「さよなら夏の日〜、いつまでも忘れないよ」を聴けた日には、すっかり大人なことを忘れて「僕らは大人になっていくよ」を「本当にそやな〜」という思春期な気持ちで聴けてしまう不思議。

北海道は、ひと足先に秋を迎える。ライジングサンは毎年お盆に開催されるが、本当にビックリするくらいにライジングサンが終わった翌日には秋がくる。

そう思っていたのだが、昨夜の東京でも、確かに、夏の終わりの空気を感じた。日が暮れてからの風が一昨日までとは違う。もう、東京も夏の名残りタームに入ったのだな、と。

今年は梅雨が長引き、夏の始まりが突然だっただけに、いつも以上に感傷的になってしまっただけなのか!?

唐突だけれど、真夏〜夏の名残り〜初秋の名曲たち(私調べ)。真夏の気怠さや疾走感、からの、夏の名残りの後ろ髪引かれる思い、からの、センチメンタル∞祭り。

小麦色のマーメイド(松田聖子)
エンドレス・サマーヌード(真心ブラザーズ)
希望の轍(サザン)
あの夏の花火(ドリカム)
Mr.サマータイム(サーカス)
さよなら夏の日(山下達郎)
ガラス越しに消えた夏(鈴木雅之)
夏をあきらめて(研ナオコ)
夏の終わりのハーモニー(井上陽水、安全地帯)
秋の気配(オフコース)  ……etc.

考え始めたらキリがない(≒いつまでも考えていたい)。

泉谷しげるは、『春夏秋冬』で「季節のない街に生まれ〜」と歌っているけれど、東京にも四季はある。確かに、感じづらくはあるけれど、それを補完してくれるのも歌謡曲の役割なのではあるまいか?

この時期の歌を作らずして、ラブソングを語ることなかれ(言い過ぎ)。

誰もがセンチメンタルにならざるをえないこのタイミングをガラスのメッセージボトルにギュッと詰め込むがごとく。最近のJ POPには、この時期の感傷を歌った歌が激減しているような気がするので(その反動でシティポップブームがきているという仮説も成り立つ)、切にお願いしたい。

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ヘッダーは『さよなら夏の日』のジャケットから。

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