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自由な中年女になる!

劇中でのなんとも爽快なパンチライン! 

昨日、『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』を観に、映画館へ。待った甲斐があった。観賞後、素直にそう思える傑作だった。

当初は3月公開される予定だった作品で、とても楽しみにしている作品だった。公開に当たった関係者の方の記事を読み、別の感慨もこみ上げてくる。

グレタ・ガーウィック監督

女性作家オルコットの名作小説をグレタ・ガーウィッグ監督を現代版アレンジ。ナタリー・ポートマンが今年のアカデミー賞授賞式で、監督賞にノミネートされなかった8人の女性監督(グレタはその中の一人)の名前を刺繍したケープを羽織り話題になったが、この作品を観ると、本当に「なぜ?」と思ってしまう。

「 素晴らしい仕事をしたにも関わらず、認められなかった女性を、なりに表彰したかったんです」とコメント。

グレタは、『フランシス・ハ』(2012)で脚本・主演。

自身の高校生時代を描いたと語られる『レディ・バード』(2012)では監督・脚本。

そして、今作では大作の大胆、かつ繊細な現代アレンジに挑み、大成功。

素晴らしき、ホップ! ステップ! ジャンプ! 

劇中の作家を目指す次女のジョーは、原作者のオルコットはもちろん、「物心ついた時から、若草物語は私の一部だった」と自身が語るように、グレタ自身ともシンクロしているように見えた。

自分の幸せは自分で決める

4人姉妹は、それぞれに幸せのかたちを自由に胸に抱いている。喪失や孤独感を体験するが、それぞれがそれぞれに成長を遂げ、希望を見る。

作家で自立することを目指し、「結婚だけが、裕福な男性と結ばれることだけが女性の幸せじゃない」と主張する次女のジョー。彼女が(私がこの映画の勝手にパンチラインだと思っている)

自由な中年女になりたい!

と主張するのだが(私は彼女に大いに感情移入するところがある)、それとは別の方法で幸せのかたちを掴もうとする3人にも納得しかない。4人それぞれが自分の方法で、自分の考える「自由」を手に入れようとする。幸福を求めるからブレるのかもしれない。自由を求めれば良いのだ。そんなことも思う。

人生は長い。「結婚したら上がり!」なんてことは絶対にない。若い女性たちが中年期に向け、自立し、自由になることを目指すことは、(もちろん、それを目指しやすい社会構造に変わることも‼︎)本当に大切なことだ。それは、原作が生まれた1868年からの約150年、ずっと女性が求めていることなのだと思う。

そもそも原題が『Little Women』である。オルコットの父親が娘たちを呼ぶ際に使っていたらしい。Girlではなく、Woman。幼き時から、この意識を養うことも大切なような気がしている(逆に、今の日本は大人の女性に対し、わざわざガール/女子を使うところがありますね…)。若さ(過去の自分)にしがみつくより、未来の自分に希望が見える生き方を模索できるように。中年期は若い頃に想像していた以上に長い。

胸熱ポイントの数々

■母娘関係

時代の常識に囚われることなく4人姉妹のそれぞれの個性に寄り添った母親の存在は大きい。これは、直前に、保守的な母親が娘をキリキリと追い詰めていくアマプラのテレビドラマシリーズ『リトル・ファイアー』を観ていたので、より深く考えてしまった。※このドラマでは3つの母娘関係が描かれている。

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完璧なキャスティング

とにかく全キャストが素晴らしい。このメンバーがよくブッキングできたものだと驚愕するしかないが(実際にキャストたちそれぞれも驚いている)、これがグレタの勢いというものか!


■結婚ってなんだ?

「自由な中年女」には、結婚しようがしまいが結局のところ、なれる。女性の幸せは結婚でしかなしえないと信じられていた時代を見つめることで、「で、結婚ってなんのために必要なんだっけ?」を大いに考えさせられる。


眼福度MAXの衣装

オスカーを獲得した衣装は文句なし! とりわけジョーの(当時は絶対になかったであろう解釈!)男性アイテムとのミックスコーデが抜群に可愛い! ジョーとローリーが互いのアイテムを共有しているのも良い!


■編集者像

「道徳より娯楽」発言とか、印税と著作権のやりとりとか、子供の方が作品に対する感度が良かったりとか……ジョーと対峙する編集者のあり方に苦笑い。※製本シーンが出てくるがこれにはジョー同様にウットリしてしまう。そして、1冊の重みを考える。

……などなど、とにもかくにも、いろいろな角度から楽しみ尽くせる一本。映画館での観賞再開の1本目として自信をもってオススメしたい!

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昨日の「●●女子」問題




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