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良作続々と。フェミニズムを考える

『ストーリ・オブ・マイライフ わたしの若草物語』『はちどり』。数日前に紹介した2本の映画、実は、どちらも夫と一緒に観賞した。

夫は、『アベンジャーズ』で「ウッヒョー」とテンションが上がり、韓国映画の中ではクライムサスペンスに「痺れる」と興奮し(特に、マ・ドンソクに)、ジャームッシュのオフビート感に「サイコー」と浸るタイプ。

基本的には私はひとりで映画を観に行くのであるが、この2作にしては「生な反応を見てみたい」という理由で、一緒に観てみることに。

特に『ストーリー・オブ・ライフ』は、夫は原作の『若草物語』がどんな話かもほぼ知らない状態だったので、「絶対に自分だったら選ばない」と観賞前から連呼していた。

ノレない『ストーリー・オブ・マイライフ』

私の感想)人生は長い。「結婚したら上がり!」なんてことは絶対にない。若い女性たちが中年期に向け、自立し、自由になることを目指すことは、(もちろん、それを目指しやすい社会構造に変わることも‼︎)本当に大切なことだ。それは、原作が生まれた1868年からの約150年、ずっと女性が求めていることなのだと思う。

夫は、観賞後、「女の子たちがワチャワチャしていて、途中まで何を観ていたら良いのかまったくわからなかった。良い映画な空気感はわかるし、ここが肝なんだろうねと頭では分かるんだけどノレなかった」と言った。

なるほど。

その後、この映画について、いろいろ語り合ううちに、「俺、女性のそういう部分、あんまり分かってないのかも。頭では分かっているような気がしているけど、骨身に滲みてないというか何というか」というようなことを言った。

「特権」を考える

ビリー・アイリッシュの先日のBLMについてのinstgram投稿の話にもなった。

好きだろうと好きでなかろうと、白人は最初から特権を与えられている。社会は白人というだけで特権を与える。貧乏でも苦しんでいても、肌の白さだけで他の人より特権がある。白人は肌の色のせいで、自分が意識しているよりも特権を受けている。誰も肌の色で特権を受けていることについては言わない。肌が白いだけで、命の危険を感じずに生きることができる。あなたたち白人は特権を受けているんだよ!。

白人が白人であるだけで特権がある。それと同じように、男性は男性であるだけで実はかなりの特権があるということに思いを馳せたようだった。

その後、自身の女性の知人・友人たちのSNS上での大絶賛の嵐にもとてもびっくりしていて、その度に、「なるほどな〜」と妙に納得するのだった。

『はちどり』には感情移入

続いて『はちどり』を観賞。

私の感想)全てが揺れ惑う中学2年生が主人公。韓国の家父長制がこれでもか、と練りこまれている(ゆえに、日本人の私たちも首がもげるほどに頷き、主人公にズッポリと共感できる)。中でも、主人公に寄り添う塾講師とのやりとりが私は好きだった。この先生も強いようで、繊細で、ものすごく揺れている(そう、私たちは、どれだけ年齢を重ねても、いつも気持ちは揺れている)。

この作品は無条件に感情移入ができたらしく、「あと1回は必ず劇場で観たい」と言った。

そして、この2作品がかなりのフェミニズム作品だということにも気が付き、「この2作品を今観たことは、自分にとってとても意味があったと思う。何かを知って、観る角度が変わっていくだけで、点と点が線になっていく感覚がある」というようなことを言った。

フェミニズムの波

今年に入ってから話題作『スキャンダル』も公開された。全ての作品が本国よりは1年遅れだけれど、今年はエンタメの世界からもフェミニズムの大波が日本にも押し寄せてきている。

私の感想) #metoo 運動の先駆けとなったFOXニュースで実際に起きたセクハラ事件が題材。声を上げる難しさ。女性同士の連帯の難しさが描かれており、苦しくなる。そして、昨日は出版業界におけるFOX的ニュースが飛び込んできた。「社会構造は未だにココだ」という現実を突きつけられた思い。

女性がこれらの作品に共鳴し、声を上げ、「連帯」を深めていくキッカケになれば良いと思う。その一方で、そうではない側にいる方たちに、ハッと気がついてもらうためにはどうしたら良いのか、と考える。

これはフェミニズムに限った話ではない。私が無自覚に特権を持っていることもあるはずだ。立場や見方が変わるだけで、いつでも自分はどちら側にもなり得るという意識を持っていたい、とも思う。





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