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人を憎んで罪を憎まず!?

かなり久しぶりに『存在の耐えられない軽さ』を読んだ。年齢を重ねる度に感じることが変わる奥行きのある小説で、いつ読んでもとても興味深い。ストーリーは、

主人公は脳外科医で、複数の女性と気軽に交際するプレイボーイ。特定のステディをつくらなかった主人公がある時、結婚する。そして、浮気をする。その女性とだけは長続きしている。時代に翻弄されながらも、軽やかに生きる3人の人間の不思議な三角関係を描く。

となるだろうか。そうなのだ、あらすじを語ると三角関係を描いた不倫もの、となってしまう。

Netflixで最近、スタンダップ・コメディアンであるハサン・ミンハジのコメディ・シリーズ『愛国者として物申す』を観ている。いやゆる、風刺コメディなので、アメリカ文化の笑いのニュアンスがまったく理解できないことも多々あるけれど、30分程度でかなりの情報量が入ってくる。リサーチャーによる膨大な資料による裏打ちがされているため、番組の真摯さも汲み取れる。とにもかくにも彼の視点(ユーモア)がおもしろい。人気ブランド『supreme』の回など、苦笑しながらも、膝を打つ思い。ただ毒づくだけ、悪口言うだけの風刺は観た後に「時間を返せ!」という気分になることもあるが、番組タイトルにある「Patriot Act(愛国者としての行動)」としてのハサンの覚悟をもった「風刺」は本当に小気味良い。日本では、劇場などのハコでは分からないが、まず電波にはのらない。

そして、また、話が変わる。週末テレビを観ていて布施明さんが歌う『愛の6日間』という楽曲を知る。男女の精神的SMを描いた歌詞(作詞は、なかにし礼)。荘厳なメロディ(作曲は天野正道)。「こんなすごい歌があったのか!」とえらく感動。これは是非、以下のサイトで全歌詞を読んでいただきたい。動画を探すと『夜のヒットスタジオ』が上がってくる。昭和はどうどうとお茶の間に流れていた。なんとも、大らかな時代。


散漫になってしまったが、言いたかったことは、最近コンプライアンスという正義がふりかざされすぎてはいまいか、ということ。寛容さが豊かさの源泉となる場合は多い。もちろん、むやみに制約がなくなることを是としたいわけではない。ここ昨今のニュースを観ていて、「罪を憎んで人を憎まず」ではなく、「人を憎んで罪を憎まず」ということがあまりにも多すぎないか、と。そんなことをぼんやりと。

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