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プラダとラフ・シモンズがタッグ。ファッションはどこへ行く?

ラフ・シモンズがミウッチャ・プラダと組んだコレクションが昨日、発表された。

ラフ・シモンズ

ラフと言えば、ディオール、カルヴァン・クライン、ジル・サンダーといったトップ・ブランドで、自分らしさを遺憾無く発揮することで知られている。昨夜も、「OH! ラフよ!」と思える彼らしさが全開。なのに、きちんとそのブランドらしさ(今回はプラダ)との均衡を保ち切れているのがスゴイなぁと思う。

ラフって何者? プラダがラフと組む意味って? ということに関しては、以下のWWD編集長の動画で詳しく解説されている。

デザイナーとブランドの関係

若い頃は、一人のデザイナーがブランドを渡り歩くという意味があまり理解できなかった。けれど、消費者に飽きさせないことが肝要なプレタポルテの世界は、デザイナーの入れ替えによりどんどん空気を入れ替えていくことは必要だ。

以前、『オフホワイト』のヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンに参画した時に記事を書いた。興奮して書いていたのがよく分かる(苦笑)。

ストリートとラグジュアリーの融合という意味を超え、人種やジャンルの壁をも瓦解。若者の欲望やニーズそのものを表現し、類いまれなるセンスで、ファッションをより自由でオープンな垣根のないものに転換。それをルイ・ヴィトンというトップメゾンでやってのけたヴァージル! 
「ルイ・ヴィトンの経営陣には(アブローの採用に対し)「二番煎じでは意味がない」「他に取られる前に囲い込みたい」という判断もあったと考えられる。その点は慧眼といっていいだろう(現代ビジネス『ルイ・ヴィトンが史上初の「アフリカ系デザイナー」を大抜擢した理由』より一部抜粋)」と書かれた記事を読み、ルイ・ヴィトンというようなブランドであっても、世間のムードを繊細にすくいとり、次なる時代へと牽引するための迅速な対応が求められる時代になったのだな、と実感

だからこそ、ドリス・ヴァン・ノッテンというデザイナーにひどく惹かれる天邪鬼な私がいる。

彼は言います、「じっくりと味わえる服がつくりたい。それは持ち主と一緒に成長できる服だ」と。自身の自由なクリエーションを守るため、スポンサーをつけずに活動を続ける彼(現在のファッションビジネスの奇跡!)ですが、その一方、インドの刺繍工房の方々の職場環境や雇用のこともしっかり考えています。ゆえに、毎シーズンごと刺繍アイテムを発表することも忘れないなんて。あぁ、なんと素晴らしい!

これからの発表形式

トップメゾンの服に袖を通すことはほとんどないけれど、その空気感を観察するのは好きで、コレクションはよく見ている方だと思う。このコロナ禍で、発表形態の模索は続く。今回、『プラダ』はショーの後に、ミウッチャとラフの2人がタッグを組んだ理由が主に語られたトークショーも実施された。

言葉で語ることは無粋とばかりにデザイナーの肉声があまり聞こえてこない場合が多い中、トップクリエイターの声がコレクションと同時に聞ける形式は嬉しい。

ファッションはどこへ向かう?

このように、コレクションを見ることは楽しいけれど、いつも、考えてしまうのは以下のアルマーニ氏の言葉だ。

「オーセンティシティー(欺瞞がなく、信頼できる本物であること)」の価値も、これ(コロナ)を機会に取り戻したい。

モードは時に快楽、時にアートである。だからこそ、絶やしてはいけない文化だと思う。

一方で、以下のような矛盾に、ファッション界はこれからどのような答えを出していくのか? 今が正念場だと思う。

2010年代後半から消費者たちは、ファッションの生産過程で生じる環境負荷や人体への悪影響に対して、大きな関心と懸念を抱くようになった。一方、ファッション業界が持続可能性を議論するときには、常に矛盾がつきまとう。(中略)さまざまなブランドがサステナビリティについて活発に語れば語るほど、彼らが本当のところ何を目指しているのかがわからなくなる、という混乱が起きているのも事実だ。

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【今日の一本】ディオールと私









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