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私と書道のはなし ③

❋ばらかもんを見ながら習字や書道の話しをつらつらと書いていこうというnote。

ばらかもん2話目を見た。
清舟クンは前回書いた『楽』をさっそく出品していた。本人も手応えを感じていたようだが、結果は準賞。大賞は18歳の新人がとったと聞いて落ち込む清舟クン……そこへマラソン大会で使うゼッケンを書いてくれ、と大量のゼッケン持った二人が飛び込んでくる、という展開に。

清舟クンが書く時のモチベーションは「賞をとること」である。確かに書道をやっている人にとっての賞は大きな目標であり、自信にも繋がるものなのであろう。
私が以前所属していた市の書道会でも読売書法展や毎日書道展に出品されている先生が何人かいらした。そこまでレベルの高い書道展でなくても、入賞目指して出品する展覧会はいろいろとあり、それこそ今まさに私が取り組んでいるJA書道コンクールもそんな中のひとつで子どもたちもがんばって書いている。

今日から集中お稽古スタート!

学校の代表として選ばれ、それが市長賞やら金賞、銀賞をとり表彰される子どもたちはとても嬉しそうで、その顔を見るとやはり賞がつくものに取り組むのはモチベーションがあがることを実感した。またふだんのお稽古では毎月の検定での昇級昇段を楽しみにしている子もいるので、目に見える他者からの評価も必要なのであろう。
が、あまりにも賞や評価に一喜一憂しすぎてしまうのは書道とはまた少し違うのかな、とも思う。
清舟クンが書いた『楽』はまさに自分の想いを表現した書であり、見た人にもそれが伝わっていたはずだ。準賞と聞いて落胆するのはもったいないよ。

さて、お次はゼッケンの話し。
この場面を見てまず思ったことは
「えっ!プロの書道家にタダでゼッケン書いてって頼むんだ」
という驚きであった。「先生」と呼びながらも村の人たちにとっての清舟クンは、字が上手い、でも一人で生活するにはちょっと頼りない都会から来た青年、という位置づけなのだろうか。引っ越し当日から荷物の運び入れ、掃除、食事の差し入れ等せっせとやってくれるご近所さんであったが、当の本人はかなり戸惑い引いている様子。今回も嵐の最中、戸は吹っ飛ぶわガラスは割れるわ雨漏りするわでてんてこまいの清舟クンの元に助けに来てくれた。餅拾いでまったく拾えなくてしょんぼり家に入ると、お汁粉がたくさん入った鍋が置いてあった。どうやら餅拾いが得意の女性(というには強烈すぎる通称パンチ)が、餅拾いに来れなかったり拾えなかった人のために配っているらしい。ここでは自分ができること、得意なことで人を助けるのは当たり前のことらしい。
だから字を書くのが得意な清舟クンにゼッケン書いて、と頼むのも抵抗ないのだろうことがわかってきた。
「でも、それってあなたが好きで人助けしてるんですよね?」 
と、某ひろゆき氏ならしれっと言いそうだが、人のために気負うことなく行動できる村の人たちのあれこれを思い浮かべ心を動かされた清舟クンは徹夜でゼッケンに『七ツ岳』と書いたのだった。
強い筆の打ちこみから入るゆるぎないしっかりとした書を身に着けた人たちの走りっぷりが見たいところだった。

次回は冒頭の展覧会で大賞をとった清舟クン言うところの「若造」との絡みからのスタートになるのかな。

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