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私と書道のはなし ⑦

❋ばらかもんを見ながら習字や書道の話しをつらつらと書いていこうというnote

さて、6話目。
清舟クンに習って中学生の子たちが書いた「温故知新」、一人は金賞もう一人が銀賞という結果になった。銀賞の子はとても悔しがっていたけれど、その気持ちはよくわる。私の教室でも中学生の冬休みの宿題で書初めのお稽古をやるのだが、この時たまたま生徒さんが同じクラスだった場合、金賞銀賞を争うことになってしまうのだ。「今年は◯◯ちゃんと同じクラスか〜激戦区だなぁ」と話しているのを聞くこともあり、やはり狙うは金賞なのだろう。

島に戻ってからの出来事としてヤスバの死があった。お葬式の様子が島独自のもののようで、まったく湿っぽさがなく明るく送りだす感じがよかった。その時ののぼり旗への名前書きを依頼され、生前のヤスバとの交流を思い出しながら刻みつけるような強い筆跡で書き上げた清舟クンなのであった。

そして7話目。
印象深かったのは清舟クンと、島に来た「大先生」であるお父さんの親子対決。子どもたちが出したお題を半紙に書くのだが、わかりやすさ、伝わりやすさを頭において書いた清舟クンの書よりも、文字そのものが持つ力を引き出して書いた大先生の書に子どもたちは釘付けであった。そのあたりはやはり年の功である。
その時落ち込む清舟クンにお父さんがかけた言葉は
「おまえの字は本当に美しくて規則正しい」
「そして……」
『つまらない字だ』(清舟クン心の声)
「素直な字だ」
 (中略)
「おまえの書は努力と意地で人の心を打つ」

お父さんに認められることに必死だった清舟クンであるが、お父さんはもうとっくに清舟クンのことを書家として認めていたんだね。
書を褒めるというのは、イコールその人自身を褒めているのだから。あなたの書く字が好きですよ、は、あなたが好きですよ、と言われているのと同じだから。
少なくとも私は自分の字を褒められた時にはそう感じて単純にとても嬉しいのである。

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