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バリ島でアーユルヴェーダ・パンチャカルマ12日目

朝目覚めて、やりきった気持ちがとても強かった。バリ島の森の中で「わたし」だけに集中した12日間。本当は3週間受けるのが最良とされているのか、最短期間を選んだ私。最初は推奨されている期間よりも短いから、効果が得られなかったらどうしようと心配していた。しかし、終わった今自分の変化を全身で感じることができる。

いつも通りヨガに参加して、汗をたっぷりかいたあと朝ごはんを食べに食堂に向かう。このプログラム期間中んすっかり仲良くなったフランス人のマダムとたのしくおしゃべり。年は少し離れているけれど、彼女のピュアなパワーがとても心地よかった。最終日付近で実はスイスの大学で経営学を教えている教授だったことが発覚。偉い人だったわけなのですが、いつも私の旅や生活の話を、目をキラキラして聞いてくれました。私も自分が年を取ったときに、ジャッジメントをせずにピュアに若い旅人の話を聞いて楽しめる人になりたいと心から思う。彼女に今日で最後なんだと伝えると、大きなハグを5回もらいました。連絡先も何も聞かなかったけど、彼女に会えて本当に良かった。

朝食を取り、向かったのはインド人先生のお部屋。最後にプログラムを通しての心身の変化をシェアして、今後の生活について話し合います。そこでは、今まで大好きだったジム通いをしばらく控えるように言われた。激しく消耗する運動を続けると、私の本来持っている「軽い」性質がますます軽くなり、心も体もフラフラしてしまうからだそう。その代わりゆっくりと地に足をつけるような運動ヨガをするようにと。筋トレをするのは、どんなときでも体に絶対いいと信じていたけれど、体質やそのときのコンディションによって悪影響を生み出すことも学んだ。

食事も同じ。例えばフルーツ、オートミールとヨーグルトなんて健康的な朝ごはんの代表選手ですが、アーユルヴェーダ的にはおすすめされない組み合わせ。フルーツとヨーグルトは食べ物が持つ性質が違うので、一緒に取ることで消化されにくくなってしまうんだとか。このように一般的に正しいとされていることも、いつでも絶対正しい訳では無いと教えてもらった。

ただ生活のすべてをアーユルヴェーダ流に変えていくのはなかなか大変。そこにこだわりすぎることが、また心身にストレスを与え、健康になるどころか不調を招いてしまう。なので先生は25%という数字を私に伝えたのだ。この12日間学んだことの中から、25%生活の中に取り入れたらそれでいいと。それだけでも、きれいにデトックスされた状態は長く維持できるし、少しずつ体質も変化していくと。心身ともにヘルシーな状態でいるのは、短距離走ではなく、終わらない旅のようなもの。負担なく少しずつが大事なのだ。

その他の生活上特に気をつけることを聞き、30分ほどのコンサルテーションが終わった。私にとっては目が飛び出るほどの高額なプログラムだったけれど、受けてよかったと思った。このままキレイにデトックスをして整えてもらった状態で、一生過ごせたらいいけれど…。きっとまた大きな不調に陥ることがあるだろう。だけど、またパンチャカルマがあると緊急時の逃げ込み先を得た気持ちだ。プログラム途中は本当に心が折れて、この世から消えたいと思ったけれど、私は回復したと終わった瞬間心から言えた。

カウンセリング後に最後のトリートメントを受けた。額にオイルを垂らすシロダーラと、オイルバスを受けた。髪の毛からつまさきまで油まみれ。施設を出て、ウブドの有名スパにいったけど、ここで受けたトリートメントが自分史上一番だった。12日間ほぼ毎日同じセラピストが私の体に向き合ってくれた。この事実に感謝しかない。



パンチャカルマを受け終わって体験記を書き終わるのに1ヶ月かかった。バリから自宅があるジャカルタに戻り、ほぼ毎日ヨガをしている。それ以外にもインドのおかゆキッチャリーを週に3回ほど食べたり、新しく得た知識を自分の体で試して楽しんでいる。ただキレイに解毒された分、大気汚染の酷いジャカルタの影響を受けてしまい、喉が真っ赤に腫れ光熱を出すこともあった。これもパンチャカルマの影響かもしれないと思っている。今まで大気汚染に晒されて生活していたけど、高熱が出ることはほぼなかったから。

12日間のパンチャカルマを受けて痛感したのが、健康に生きるって簡単じゃない、だ。ネットを開くと健康情報は星の数ほど出てくる。でもそれは私に合うかは分からない。自分の体と心とつながり、真摯に観察をすることで初めて、私は何が必要なのかが分かってくる。健康はインスタントなものではないし、トレンディーなものではないのだ。今回アーユルヴェーダの先生と対話を続けたことで、その座標軸を与えてもらえたと思っている。アーユルヴェーダの治療はオーダーメイドなので、この治療は私しか受けられない。でもだからこそ体験した人だけの道標が得られる貴重な時間。お金も日数もかかるし簡単に勧められるプログラムではないけれど、もし本当ににっちもさっちも心身ともにいかなくなったら、試してほしいなと思う。


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