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曇った鏡に映った私

数年ぶりの大衆浴場。
大きな鏡の前に座り、体を洗う。
目の前にいる女性は誰?
私だよね、もちろん、そうだよね。

数年ぶりに見る自分の裸体が
あまりに新鮮でショックでもあった。

下腹部はまあるく、西洋画に出てきそうな
よく言えば、ビーナスのそれのような
ふくよかで何かを包み込むような優しさを放っている。

気づかないうちに私も中年になり、
こどもの頃に銭湯でみたあのおばちゃんたちの姿になっていた。
肩から二の腕にかけてたくましさと柔らかさを携え、
おおぶりのお椀のようなふたつの胸と
そこから続くでっぷりとした腰周りは
安心感と愛らしさが漂う。

そっか、そっか。
決して美しいといえるようなものではないけれど、
年輪というのか、体にも古さに宿る美しさがあるものだと思った。

誰かに見せたいわけではない。
ただ、ただ、自分で自分のことを大切だと思っただけ。
鏡に映る古くて新しい私が愛おしい。
毎日、毎日、ありがとうね。

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