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告白しない理由とする理由

高校時代、
告白をしないで何年も同じ人を思い続けている友達がいた。
振られるのが怖いから。
そんな理由だったような気がする。
はっきりは覚えていない。
だって、そのころの私にはまったく理解できなかったから。

だけど、今、その気持ちが少しわかる。

私は結婚しているので、そんなややこしい関係になるのはまっぴら御免というのは大きい。

しかし、それだけではない。

恋は人を変える。時間の使い方を変える。
言葉を変える。見える景色を変えてしまう。
そんな魔法のようなパワーを与えてくれるのが恋。
一度手にしたら手放したくない。

そんな恋なのに、
相手に想いを告げ「迷惑だ」と言われてしまったら、
この恋を終わらせなければいけないのだ。

電柱の影からそっと覗いていただけで満足だったはずなのに、
電柱から飛び出してしまったばかりに、
そのひそやかな楽しみを取り上げられてしまう。

彼のために聴いた音楽も
彼のために詠んだ歌も
彼のために書いた文章も
すべて手放さなきゃならなくなる。

失ったあとの時間の使い方を考えると
恋は成就しないかもしれないけれど
片思いを続けた方がいい。
そう思ってしまうのかもしれない。


私は相手に気持ちを告げずに終わったことはない。
電柱の影から追いかけて、横顔や後ろ姿ばかりを追うのは嫌だった。
真正面から顔が見たい。私を見て欲しい。そう思ってしまう。

恋を終わらせるリスクと引き換えに1度だけ確実に視界に入ることができる。それが告白だ。

一度のチャンスを使うか、どうか。
今の私ならどうだろうか。



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