見出し画像

横尾忠則展 "原郷から幻境へ、そして現況は?" 東京都現代美術館 2021年7月17日(土)- 10月17日(日)

横尾忠則さんの60年の創作活動の集大成ともいうべき大回顧展が開催されてます。(といっても後わずか)
Eテレの日曜美術館で、「横尾忠則展」見て、横尾さんの2021年の作品も出展されてると知り、今年85歳になられる横尾さんの近年の作品を観てみたいと。でもこの展覧会は東京の後は大分にしか巡回しないと、それなら東京に見にいくしかないと決め行ってきました。

横尾さんの初期から最近の作品までずらりと、作品数は圧巻の600点余り。
60年代のグラフィックデザイナーとしての横尾さんの作品は、淫猥でどこかノスタルジックで土着的。天井桟敷、腰巻お仙、ターザン、ビートルズ、三島由紀夫などの、サイケデリックなポスター、シルクスクリーンなどのグラフィックポップアート、堪能できます。私の世代の人なら馴染みありすぎなグラフィックワークばかりです。
画家に転向されてからの、印刷だけでなく油彩など直筆の、Y字路のシリーズ、コラージュのように描かれた作品や、グラフィックに寄ったペイント作品、宗教画・近代絵画へのオマージュの模写、キャンパスが切り裂かれたり光ったり回転したりする作品。モデルと対峙したような絵はなかったような。。
そして有名な滝の連作絵画と、1万枚の滝の絵葉書を鏡に反映させ積みあげていったインスターレーション作品もおもしろかった。

今回の展示法が横尾さんの画家宣言以降の作品がメインに構成されてたこと、展示全作品でひとつの曼荼羅なような印象をもてたこと、絵画鑑賞というよりは絵画体験をしたような実物を観る喜びを感じられたこと、にとても満足でした。私なんだかんだ会場を2周しました。

"荒野の用心棒"のテーマ曲"さすらいの口笛"(横尾さんお好きなのかな?)がエンドレスで流れてる最後の展示室「原郷の森」の、ここ数年の"寒山捨得"などの作品群が、私とくに好きでした。生動する色やタッチが無為に自在で自由に流動しててとても美しい。
横尾さん、日曜美術館で、「すべての人には魂の故郷があってその場所を原郷といい、そこは生命の根源のようなところ』『見えないもの触れられないものにこそ創作の原動力が湧いてくる』と。
横尾さんの絵のなかにはよく、戦争 空襲 首吊り用ロープなど、が表現されていますが、それは両親の愛への想いや子供の頃の原体験からくるものと説明されてました。
『もう絵描くの飽きちゃってるけど、飽きちゃってから描く絵を観てみたい。・・・・絵を描いてるというより描かされてるんだ。・・・・描きたいから描いてるってそれでいいじゃないか』と横尾さん。

当日は、緊急事態宣言が解除されたこともあったし、会期末が近いのもあって、滑り込みで駆けつけた人でたいへん混み合ってました。私は前もって予約優先チケットを購入してたのですが、予定より1時間以上前に会場に着いてしまったので、時間を早めてもらえないかと頼んだみたのですが、この混雑では無理でした。

おもいきって行ってよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?